人材育成における観点

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一般的な企業では、人材育成が企業存続の最優先事項と公言しています。しかし、実態は、公言と異なる運用になっていることがあります。本日は、人材育成における観点について、コメントします。

多くの企業は、新卒から15年間程度で育成が満了し、それ以降は人材選別のステージに入る仕組みを運用しています。人材選別では、人材の持つ能力、言い換えれば、その人材が発揮した実力と、周囲の評価で決まる運用です。

高齢化が進み、育成対象者は年々減少します。並行して多様化社会が進み、新卒者の要望も多様化しています。新卒者は育成結果が待てないばかりか、直ぐに結果が出ない企業は、自分のキャリア形成を阻害するとみなします。自分の実力と周囲の評価に対する考え方も、キャリアアップの機会と上司の良し悪しと置き換えています。

少子化に伴い、育成対象者数は年々減少します。それに加えて、15年間の育成期間中に、高いキャリアアップの機会と上司に恵まれた幸運な人達の大半が、更なるキャリアアップを目指して退職します。

この傾向が続けば、育成期間終了時には、キャリアアップの機会に恵まれなかった人が社内に残る時代になるかも知れません。そうなると、人材育成によって、優秀な人材を育成するはずが、その次に相当する人材を育成する仕組みに変わります。

そこで、育成した優秀な人材は社外流出するとみなし、残るであろう人材とキャリアアップしてきた中途採用者に対して、希少な経験や高いマネジメント能力の習得を行って、育成する仕組みに変えていく観点が必要となるでしょう。

人材育成内容についても、時代の変化を反映させる必要があります。昨今の企業に求められる能力についても、時代の変化に合わせて再定義する必要があるでしょう。発想転換力、聴く力、異常事態対応能力、商慣習や社内常識を疑う資質は、新たに必要と言われている能力です。

テレビゲームの世界では、ゲーム数をこなしながら経験、知識、失敗と成功の違い、対応するテクニックを覚え、大きな失敗や信頼を失う事象があっても、リセットすれば元に戻ります。これからの人材育成では、こうした仮想空間を活用して育成する仕組みが主流になり、より効率的になると思われます。

企業は永年に亘り、継続的な成長を遂げて、新たな事業活動を生み出し、社会の変化に対して適切に対応できることが望まれています。人材育成の仕組みや運用が、社会の変化や求められる姿を反映している企業は、大きなアクシデントがあっても、乗り越えていくでしょう。そういう企業の株主になりたいと考えています。

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