タレントやその所属事務所に対して、批判や憶測を含むSNSへの投稿を繰り返したとして、化粧品会社が廃業することになった旨、報道がありました。本日は、不適切な投稿がもたらす結果について、考えてみます。
当該企業のホームページを拝見したところ、謝罪文が掲載されていました。驚いたことに、投稿していたのは代表取締役でした。謝罪文によると、投稿によりタレントや所属事務所、投稿を読んだファンの人達の心を傷つけ、不快な思いをさせたそうです。日常では使わないような無礼な言葉を使い、投稿の中で時系列で事実誤認があると指摘を受けたと記載がありました。投稿した責任を取って、廃業することに決めたそうです。
一般的には、代表取締役自身にモラルに欠ける行為があった場合は、取締役の辞任と経営から外れるという責任の取り方が多いです。廃業にせざるを得ないと判断するのは、主要な商品が一般女性向けだからかも知れません。もしくは廃業することで、本件は終了と社会との間で整理したい趣旨かも知れません。
企業の代表取締役が、SNSの投稿を行うことに異議を唱えるつもりはありません。一般的に、企業の代表取締役は、社内外向けにプレゼンやメッセージを発信する機会が多く、中には読んだだけでは趣旨が伝わらないこともあることから、強過ぎるメッセージは使わないものです。また、一定規模以上の企業であれば、社内外へ発信するの稿は、広報部や総務部の責任者が事前に記載内容を確認して、今回のような事件が起こらないように対策を講じています。
零細企業やワンマン経営の企業であれば、広報部や総務部が確認する代わりに、コンプライアンス担当部署が、経営者が不適切なSNS投稿を行わないようにするには、どうすれば対策できるかを考えねばなりません。例えば、取締役以上は、外部研修を受講してSNSの強みと怖さを習得することです。これなら企業規模に関わらず、対策を講じることが可能です。
研修が受講できなければ、最低限、以下の内容を習得して欲しいと説明することも対策の一つです。たとえ発信内容に真実相当性があっても、SNSへ投稿することが正しい行為とは限らないこと。SNSの世界では、読み手が一般社会の正義であり、適切か否かを判断するのは読み手であること。正確に言えば、社会常識が投稿内容の審査を行うのがSNSであると常に認識しておくことなどです。
それだけに、感情が高ぶりやすい飲酒時の投稿は厳禁、かつ個人の感情を投稿することは控えるべきでしょう。個人が感情を持つことは自由です。しかし、一旦SNSへ投稿すれば、新聞やテレビで放映するよりも多くの人の眼に触れます。否定的な感情や意見を持つ方が多数いるものだと考えておくと、安全かも知れません。
この事件を通じて、企業のコンプライアンス担当部署や経営者は、企業を取り巻くリスクが一つ増えたことを認識する必要があります。弊社はSNSの特徴や性質を説明できる程度で、SNSの専門性はありません。しかし、社会常識に照らして、一般人や特定のコア層が読んだらと言う観点で考えるようにお薦めしています。
その他、SNS投稿を制限する社内規則や就業規程の見直すことも、対策の一つです。SNS投稿を禁止するという対策については、SNSが社会の意見を変える時代ですから、禁止で逃れるのは、適切ではないと思われます。いかがでしょうか。



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