企業経営者向けのコンプライアンス研修について、必要性が高まってきた為、その内容について検討しています。本日は、具体的にどのような研修が必要なのかについて、考えてみます。
多くの企業では、執行役員や取締役に就任する際、会社法における義務と責任について、研修を受講しています。法律の趣旨と違反事例を学んでいます。以下の項目を学んでいることと思います。
忠実義務:会社および株主の利益のために行動する義務。自己の利益を優先する取引や、株主や取締役会の承認なしに利益相反取引を行為が違反事例。
善管注意義務:善良な管理者の注意をもって職務を遂行する義務。不適切な取引を行い会社に損害を与える行為や、法令違反や不正行為を放置して組織的な問題を生じさせる行為が違反事例。
コンプライアンス違反:法令および定款に従って職務を行う義務。価格カルテルに該当する指示行為、違法な長時間労働の容認、環境法令を無視し、有害物質の違法な排出を指示する行為が違反事例。
債権者保護義務:経営危機に陥った際、取締役には債権者の利益を保護する義務。個人的な資金繰りのために会社資産を流用が、違反事例。
情報開示義務:株主や市場への適切な情報開示が求められる義務。重大なリスクや損失を意図的に隠蔽し、虚偽の財務情報を公表する行為や、株主総会で必要な情報を十分に開示せず、意図的に誤解を与えるが、違反事例。
その他には、内部告発や不正行為を黙殺したり、組織的に隠蔽すると責任が問われます。社内でハラスメント問題が発生したにもかかわらず調査を怠る、内部告発者への報復行為を指示容認する行為が、違反事例です。また、株主総会を不当に侵害する行為も責任を問われます。株主総会にて特定株主の発言を不当に制限したり、虚偽の説明に基づく議案を強行採決すると、違反事例に該当します。
取締役の義務と責任、ならびに違反事例以外にも、違法とは決めつけられないが、時代の変化に伴い、倫理観として見直しが必要な商慣習や習慣などについても、結果的に取締役の義務を問われるリスクがあります。その辺りが、今の社会や企業から求められているニーズではないかと考えています。
例えば、カジュアルな服装で業務を行うことも多くなってきました。それに伴って新たに生じる可能性がある事象やリスクについて考えてみるなど、新しいカタチや商慣習が、昨今の倫理観に合っているかと言う観点も持ち合わせると良いと思います。
現実的には、経営者向けコンプライアンス研修なんて、ニーズがあるのでしょうか。非常に疑問に思いました。



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