自動車メーカー直営の自動車販売店が、業務改善命令という行政処分をを受けた旨、報道がありました。本日は、財務局が公開した内容に基づいて、考えてみます。
該社は、令和2年に高機能塗装・ボデーコートの未施工による保険金の過大請求等が多数判明したとして、再施工を行う旨を公表しました。令和3年には、不正車検が多数発覚したことにより国土交通省から行政処分を受けています。これを受けて、3ライン・オブ・ディフェンスによる内部統制を構築し、ガバナンス強化を図るなど対策を講じてきました。
今般、当局が立入検査を実施したところ、保険金不正請求の未然防止態勢が不十分と認められ、加えて経営管理態勢、保険募集管理態勢、顧客情報管理態勢、苦情対応態勢について、問題が発生していることが確認されたそうです。
経営管理態勢では、経営者が保険業法等に関する知見が足りず、内部統制の構築に向けた議論を行っていないことで、ガバナンス体制が機能不全となっている、本社管理部署が販売第一線の実態を把握できていない、監査部署は監査において多くの問題が検知・是正できていないと示しています。その結果、他の3つの態勢に問題が発生していると結論付けています。
細かい項目を読んでいると、必要なルールを作っていない、法令やルールを習得していない、実態を把握していない、不備があれば改善する仕組みを機能させていないという趣旨が、記載されていました。これは、第一線で行う事業活動において、自社の課題を見つけ、ルールや仕組みの見直しや改善活動により業務品質の向上に資する活動が見られないということだと思われます。
業務改善命令では、見直すべき課題のうち、優先順位の高い項目を指摘しています。経営者が法令の趣旨、背景を腹落ちさせること、3つのディフェンス・ラインの機能の見直し、各ラインにおけるPDCAサイクルの実施、そして何よりも、お客様を騙す事業活動の禁止、お客様の個人情報を守る仕組みの継続的な整備が求められていると思います。



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