法令と常識の習得

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コンプライアンス経営において、明らかな法令違反や法令に抵触する行為ではないが、一般社会から見ると非常識な行為について、定期的に習得することが出来れば、適切な人材育成や適正な事業活動に通じると思います。本日は、法令と常識の習得について、考えてみます。

昨今、社会を悩ましている事象の多くは、法令に抵触はしないが、信義則に反する、または非常識と言われる事象です。こういったグレーゾーンを習得するには、どのようにしたら良いか、考えてみました。

例えば、定期的に行う会議やミーティングにおいて、テーマを設定して実施までに各自で考えを整理してもらい、当日に意見交換するという仕組みです。事務所の前で歩道以外の所を横断すると近いというケースをテーマにします。横断歩道以外の所を横断することは違反ではありますが、警察に取り締まられない限り、違法には該当しません。更に、横断すること自体は自己判断です。要すれば、常識の範囲内と考えるか否かについて、意見交換を行うものです。

自己判断なのだから、自動車運行や自転車走行の邪魔にならなければ構わないという意見もあるでしょう。一方、その横断行為を見た一般の方が、当該企業の役員や従業員が、非常識な横断行為をしている、こんな人がいる企業の商品やサービスは信頼し難いと通報してきたら、どうでしょう。あまり過敏に反応しないという回答もありますが、一般社会から見ると、自己判断レベルの行為にも、非常識と判断されることが分かることが、意見交換で習得する知識です。

同じようなケースとして、事務所前から走行中のタクシーを拾ったら、その前方にいたお客様から、自分が待っていたのにあの企業の役員や従業員に邪魔されて、先に拾われてしまったと通報があったら、いかがでしょうか。

また、社内で検討中の新規事業について自宅で家族に話をしたケースを考えてみましょう。社外厳秘の内容でなければ就業規則違反にはあたりませんが、家族が外部の人に伝えたことで、他社が知る機会ができるおそれがあります。上場企業であれば、インサイダー情報に該当するケースもあります。

何もかもが禁止行為であると誤解を受けないように注意する必要です。しかし現代社会では、この程度なら・・・とか、正しく認識させる方が適切・・・などという理屈が正論となってしまい、社会から見られていることを忘れることがあり得ます。それゆえ、いつもと異なる言動をする際には、もう一度考え直す、上司や同僚に相談するという回避策を教えておくことが望ましいでしょう。

テーマがない場合は、自社の事業活動において、法令違反ではないが、外部から見た場合に、変だなと思われる行為がないかというテーマは、いかがでしょう。例えば、営業活動において、過剰な対応と思われる事象について、自由に意見交換することです。顧客企業の要人の誕生祝、訪問時の手土産、過剰な接待、個人の力を事業活動として活用する事象などです。

また、取引先を表彰する制度があるとします。本社が表彰状と記念品を授与しているのに、担当部署が重ねて表彰していることはないでしょうか。そもそも顧客企業の事業活動を自社が表彰するというのは、社会の非常識ではないかという意見交換です。

上記のような取組みは、営業とコンプライアンスを分けて考えずに、事業活動の中で社会常識に照らして検証して改善していく新しい活動方式です。4月から新しい年度が始まる企業が多いと存じます。このような活動を検討してみては、いかがでしょうか。

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