保険会社に永年勤務している間、ずっと気になっていたことがありました。今まで商習慣や常識、この程度は構わないと考えていた事象が法令違反や不適切と明らかになり、保険会社各社は、社会の常識とズレていないかを見つける取組みをしているそうです。本日は、ずっと気になっていたことについて、コメントします。
保険業界においては、大きくは新規と更新、変更と解約という4つの手続きがほとんどを占めます。新規と更新の手続きは、商品ごとに重要事項説明や意向把握確認など、やらねばならない振る舞いが定められています。しかし、実際の手続きや説明の順序は、募集人さん任せになっており、実態は統一されていません。
一般社会では、同じ商品やサービスを購入する際、どこの店舗のどこの店員さんも必ず同じくだりで説明し、お客様の注文を確認します。「ご一緒にポテトはいかがですか」が一例です。銀行窓口で定期預金やその他金融商品を購入する際、パンフレットやタブレットで必ず同じ順番で説明を受け、何も省略することなく、全工程が終了したうえで、署名を求められます。
一般社会では、同じ商品を購入する際、人が違っても同じフレーズで同じ進め方をすることが常識です。保険業界だけが募集人ごとにやり方が異なるのは、社会から見ると非常識です。更新に至っては、かなりの説明を省略することが多いのが実態です。
それゆえ、現状では保険代理店さんは、一般社会から見ると非常識な事業活動をしているとも言えます。一般社会の常識に合わせ、全募集人が同じ手続きを行うように統一すべきです。これができるだけで、業界では特筆すべき高い業務品質になります。
対面募集は全てデジタル手続きにする、電話募集では事前送付した書類が手元にない時は手続きせず、かつ代理店側はデジタル手続きの画面を見ながら説明を行う、郵送募集では、書類が到着した頃を見計らって電話で説明だけの時間を作り、その際デジタル手続きの画面を開いて説明するなど、デジタル手続きの画面を活用することで、手続きの統一が可能となり、一定の業務品質が構築できます。
また、お客様が直接行うデジタル手続きを活用することも、業務品質の統一化に寄与します。高齢者はデジタル手続きはできないと言う人がいますが、偶数月15日の朝、銀行やゆうちょのATMの前では、年金受給者が片手でスマホをいじりながら列をなしている光景を目にします。スーパーのセルフレジで高齢者が一人で支払いを行っていることも普通の光景です。手続きに詰まったら、店員さんに教えてもらいながら、進めています。そのご支援こそ、代理店さんの本来業務ではないでしょうか。
弊社では、業務品質の統一化運営に向けた取組みや、統一化を阻害する要因の克服方法、更なる業務品質の向上に向けた取組みの方向性などについて、社外の立場でご支援しております。



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