駅ビルの商業施設を運営する会社が、自社ポイントの運営費用の一部をテナントに負担させる契約に、一方的に変更させたとして、公正取引委員会は独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いで警告する方針を固めた旨、報道がありました。本日は、本件について、考えてみます。
自社ポイントの会員数が増加したことで費用負担が増えたこともあり、自社分の費用負担の一部をテナント側に求めた模様です。公取委は、当該企業が圧倒的に強い立場で、テナントと協議することなく取引条件を一方的に変更した行為が、独禁法上の「優越的地位の乱用」に当たる恐れがあると判断しました。調査開始後、当該企業は取引条件の変更を白紙に戻した上で、テナント側との協議を進めているそうです。
施策が成功してポイント会員数が増えれば、ポイント還元等の費用負担が増加することは、運営上は理解していたと思われます。しかし、経営の立場では、大増収した施策が費用負担のお陰で利益が縮小することは、許容できないと考えられます。その場合、ポイント還元率を抑えたり還元期間を短くするなど、新たな施策を実行して費用負担を抑えるか、それ以上に増収する施策を展開する対策は、考えられます。
ここで、自社がポイントで利益が苦しいのにテナントには影響ないのはおかしいと考えてしまうと、テナントに負担を求める考え方になります。ただ、そうであっても、テナントの更新時期に現状を説明し、ポイント会員の増加効果でテナント側も収益拡大に繋がっているのだから、費用増加分の一部を負担して欲しい旨、正々堂々と交渉すれば、費用負担に応じるテナントもあるかも知れません。
一方的な通告や通知を行えば、独占禁止法に抵触するのは明らかで、その事実を経営陣が知らない訳はありません。今回は、どのようにして費用負担の社内決定を行ったのかを調べることで、発生原因の要素が分かり、再発防止が出来ると思います。



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