不適切な点呼の横行

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郵便事業を営む企業において、配送車の運転手に対する法定の点呼が適切に行われていなかったことが分かった旨、報道がありました。これを受けて、当該企業は緊急で全社点検を実施しているそうです。本日は、不適切な点呼の横行について、考えてみます。

本件は、貨物自動車運送事業法における運転者の労務管理に関わる事項に対して、不適切な点呼の横行という事象です。2022年4月の道路交通法の施行規則の改正により、白ナンバー(自家用自動車)を使用する一般事業者に対しても、アルコール検査が義務化されました。

この改正により、5台以上の業務用車両を持つ企業は、アルコール検知器によるチェックを義務化され、運転者の酒気帯びの確認記録を1年間保存することが求められています。加えて、労働安全衛生法では、事業者は従業員の健康を管理し、安全な労働環境を管理する義務があり、業務での自動車運転に関して、点呼や健康状態の把握が重要である旨、謳われています。

前述した不適切な点呼の横行の実態を踏まえると、一般事業者においても、次年度の社内監査項目に、道路交通法で定められた運転記録の保存確認の際、不適切な点呼が横行していないかという観点を加えることを検討してみる価値はあるでしょう。

社会で起きた事象や事件について、すべて自社で点検や監査をする必要はありません。しかし、点検や監査の観点がズレていないか、実効性があるかという観点で見直しの機会と捉えることは、大事件を未然に防ぐ効果があります。検討した結果を記録に残しておくことで、大事件が発生した際に説明責任が果たせます。新年度を迎えるにあたり、検討する機会を持ちましょう。

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