都内の高級ホテル15社が、毎月会合を開いて、客室単価の設定の方針などの情報を交換していた疑いがあり、公正取引委員会が警告を出す方針を固めた旨、報道がありました。本日は、価格カルテルについて、考えてみます。
国内のインバウンド需要が高まるにつれて、ホテルの宿泊料金が高くなっています。都内のホテルは、50%くらい料金が上がったとのことです。この背景には、高級ホテル15社が毎月集まり、各社の客室単価を情報交換していたようです。
この行為により、各社の価格が揃って料金を引き上げたという事実は確認できなかったものの、価格カルテルに繋がるおそれがあるとして、独占禁止法違反の疑いがあると判断したようです。
物価高、人件費高が追い風になり、商品やサービスの価格を上げやすくなりましたが、同業他社より過剰に価格が上げると、消費者が購入しなくなるおそれがあります。そこで、各社は市場調査が必要となります。
自社独自で調査すれば独占禁止法違反の疑いはありません。しかし、同業他社が集まり情報交換すれば、同法に抵触する可能性は高く、公正取引委員会に目を付けられたら、違反レベルであると認識しておかねばなりません。
独占禁止法は、市場における公正かつ自由な競争を促進するための法律です。一企業による私的な独占、取引先に対する不当な取引制限、不公正な取引方法など競争を妨げる行為を禁止しています。この法律の目的に反する行為、反することを目的にする事業活動は、ほぼ同法に抵触すると考えて間違いないと考えます。
罰則として、罰金に加えて懲役まであることを考えると、営業活動を行う企業であれば、この法律の概要、抵触する行為について、研修等で習得しておくことが必要です。この程度は大丈夫、ここまでは抵触しないという安易な考え方は、この法律には通用しないと認識しておくことが肝要です。



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