NPBの不公正な取引方法

photo of man holding black eyeglasses

日本野球機構(NPB)に対し、独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いがあるとして、公正取引委員会が調査していることが報道されました。本日は、本件について、コメントします。

昨年10月にプロ野球の日本シリーズは、他局が生放送していました。あるテレビ局は、その時間帯にメジャーリーグのワールドシリーズのダイジェスト番組を放送しました。これに対してNPBは、信頼関係が著しく毀損されたとして、当該テレビ局に対して、日本シリーズの取材パスを没収したそうです。

当該行為が、独占禁止法が禁じている取引妨害にあたる可能性があるとして調査しています。取材パスを没収することで、当該テレビ局がNPBの競合相手であるメジャーリーグとの取引を不当に妨げた恐れがあるとみて、関係者への聴取を進めています。

NPBが起こした行動は、当該テレビ局がNPBの競合相手から放映権を購入することを妨げるおそれがあるとすれば、独占禁止法違反に該当する可能性は極めて高いです。

日本シリーズはプロ野球最大のイベントなのに、その生放映時間帯に、ダイジェスト番組とは言え、メジャーリーグ最大のイベントを放映されれば、流れた分だけ視聴率が下がり、スポンサー企業に不利益が生じます。不利益が生じたスポンサーが、当該テレビ局に自社広告を妨害されたと逆恨みする可能性もあるので、放映するのはもろ刃の剣だったはずです。ただ法令違反には該当しないので、適正な事業活動です。

国内人口は減少し、スポーツ人口の争奪競争は年々激しくなり、スポーツ振興はなかなか難しい時代になっています。大学の体育会スポーツ部の中には、選手集めに苦戦している実態もあるようです。

法令違反行為は断じて許せないものの、スポーツ振興という観点では、同じスポーツ同士を放映時間を重複させて競合させることには、少し違和感を感じました。オリンピックとワールドシリーズは、同時期に開催しません。恐らくスポーツ振興の趣旨に反するからではないかと思われます。法令の範囲で事業活動を行うことは大切ですが、少し広い観点で事業活動を見直していく大切さを考えさせられた報道でした。

コメント