宮内庁は、侍従職の20代の職員が、内廷費から総額360万円を盗んだとして、懲戒免職処分にしたと発表しました。2023年11月から今年3月までの間、宿直中に侍従職が管理する現金を窃取していたそうです。本日は、本事件について、考えてみます。
侍従職は、天皇ご一家の側近として活動や日常生活を支える任務に就いています。天皇ご一家に必要な資金は、全て侍従職が管理しています。職務の関係上、常に一定程度の現金は、手元に置いているものと思われます。
報道によると、今年1月下旬、帳簿と現金の残高が合わないことに気付き慎重に調べていたところ、3月下旬、更に3万円の不足が判明したことから、宿直明けの当該職員に確認した結果、窃取の事実を認め、さらにそれ以前までに不明となっていた357万円についても自身が窃取したことを認めたそうです。
宮内庁ですら、内部職員による窃取事件が起こるのですから、現金を置いている職場のある企業や団体では、同様なことは起こらないとは言えません。大切なことは、帳簿と現金の残高が合わない時には、慎重に原因を調査することに尽きます。
その際、誰かが窃取した前提ではなく、現金の出入りの際に異常値や例外の行為、共通する環境がなかったかを調査していくことが、原因解明に繋がります。宮内庁の場合は、現金が亡くなった前日に同一の職員が宿直していたことが、疑うきっかけになったと思われます。
一般的には、現金と帳簿残高は常に一致しています。しかし、毎日その確認をしていない場合には、帳簿残高と現金が不一致となることはあります。それ自体が事件には繋がらなくとも、調査を行うことで、犯行を繰り返すことができない環境を作ることができます。
今回は幸いにも職員本人が全額返済したとのことですから、宮内庁の被害金は回収できました。おかしいと感じる感受性と、その原因調査を行う行動力が肝心です。社内マニュアル等に記載して、日頃からマニュアル通りに進めるように教育することで、大きな被害を避けることが出来る可能性が高まります。健全な職場には、健全なマニュアル実行力が備わっています。小さな悪事は完全には防げなくとも、悪事の繰り返しを防ぐことは可能ということを覚えておきましょう。



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