保険会社の代理店手数料ポイント評価の中に、KPIの公表という項目があり、策定支援のご依頼を受けました。本日は、KPIの作り方について、手順と注意すべきポイントについて、考えてみます。
以下の代理店を前提にして、手順を考えてみます。
ビジョン:「お客様のあんしんと安全をお守りする」
中期目標:「継続的な業務品質の向上」
KPI公表の目的:「手数料ポイントの向上と従業員の動機づけ」
1.目的の明確化
手数料評価ポイント以外に、従業員の行動を変える、業務品質の向上など、本来の目的を明確にしておく必要があります。
2.戦略や方針との整合性を確認
中期計画や年度方針とリンクする必要があります。中期計画が業務品質の向上なら、それを定量的に測定するKPIを設定します。(不備率、適正実施率等)
3.KPI項目の選定と定義
何を測るかを具体的に定めます。あいまいな表現を避け、定義のブレを防ぎます。「高い、丁寧」などは避け、「アンケートスコア4.5以上、不備率10%未満」などブレない定義にします。
4.目標値の設定
少し背伸びすれば届く、達成したくなる目標値を設定します。業界平均や過去数値を参考にして比較することでも構いません。
5.運用、見直しツールの設定
公表よりも、運用と改善がKPIの生命線です。大切なことは、KPIの評価制度、同評価方法、結果の活用です。四半期ごと、部署単位、個人単位で評価し、社内表彰や人事評価に反映させたり、研修テーマやルールの見直しに活用すること望ましいです。
注意すべきポイントは、以下のとおりです。
1.KPIは、行動を変えるツールの位置付け
数値が目的化すると、無理な営業活動が生まれます。なぜこのKPIが必要なのかを従業員に対して説明し、納得を得る工夫が、経営者には必要です。
2.測定できないKPIを避ける
測定が困難、データ収集に手間がかかると、現場が疲弊し、形骸化の温床になります。自動測定可能、保険会社からデータ提供があることが望ましいです。
3.達成して終わりにしない
目標を達成したあとも、KPIや目標を見直すことで、継続的な改善事業にする。結果を活用して何ができるか、何を産み出すかを考えることが大切。
4.定性的な評価を補助的に活用する
数字で表せない評価も、評価する制度があることが好ましいです。苦情の背景や原因の分析、お客様のホンネを引き出すフレーズを作り出す改善活動、フリー欄の活用や、会議における情報共有などです。
5.従業員のモチベーションと連動させる
KPIの達成が、評価、表彰、インセンティブに反映する仕組みがあると、モチベーションが高まり、平時の行動を変えることができます。優秀な評価を得た従業員に対し、品質マイスターなどの称号を付与するなども、モチベーション向上策です。
上記のような手順と注意点を踏まえてKPIを策定すると、目的、取組み、評価、改善、モチベーションが明確になり、社業として取り組む価値も出てきます。本年度は緩やかにスタートして、次年度からしっかりとした取組みに格上げすることでも構いません。組織におけるチャレンジが、個人の事業活動の改善に繋がることで、お客様により貢献する事業活動に繋がっていけば良いのです。



コメント