退職代行

man in black suit jacket received a good news

従業員が勤務先に直接連絡することなく、代行業者を使って、自身の関与なく退職することを退職代行と言います。企業と従業員の関係が変わってきた為に、派生した新しい業種です。本日は、退職代行について、考えてみます。

従業員が退職代行を使うのは、退職を言い出す精神的ストレスがない、引き留めに合わないなどが、主な理由と言われています。特に、退職を伝えること自体がわずらわしいと考えている人には、退職代行はフィットしています。その反面、費用がかかる、職場に不信感や遺恨を残す、転職活動への影響が懸念されるなど、デメリットもあります。

企業側にとっては、従業員の退職希望が明確、退職に伴う感情的なもつれがない、在籍のまま出社しないなどの状態がなく、書面や手続きに集中できます。一方で、他の従業員の士気に影響を及ぼす可能性、業務の引継ぎが不完全になる、企業イメージへの影響が考えられます。

退職代行サービスを利用する人が増えた背景には、職場に何らかの「辞めにくさ」や「声を上げにくい環境」があるという兆候かもしれません。非常識な退職者と切り捨てるのではなく、退職者との間に何があったか、どのような改善の余地があるかを考える必要があるでしょう。

企業が取るべき対策は、管理職と従業員の間に心理的安全性を確保する、退職フローの明文化と周知、引き留めの抑制、メンタルヘルス・ハラスメント対策、管理職向けの教育強化、エンゲージメント向上と職場改善取組みなどが考えられます。

いずれにしろ、従業員が「退職代行を使わざるを得なかった」と感じる背景には、企業風土の改善点が潜んでいます。それに気づき、信頼を対話の文化を育てることこそが、最大の退職代行対策と考えられます。

その為には、退職代行を使われたことを責めたり、当該管理職だけの責任にすることなく、企業内の課題と捉えること、人事部に任せきりにしないで、経営者、管理職を巻き込んだ課題の共有が必要でしょう。

退職代行への向き合い方も、企業のコンプライアンス活動の一つの類型です。向き合う姿勢がない場合は、経営者が向き合う姿勢を示すことが何より大切です。社会で新たに起こっている事象の背景には、必ず解決策があります。社外の意見を取り入れるなど、社内の文化を変えていく取組みの大切さを感じます。

コメント