相談しやすい環境

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最近、企業や組織では、相談しやすい環境を重視しています。相談者にとって相談しやすい環境を整備するという趣旨です。企業文化や社内風土により、その難易度は大きく異なるようです。本日は、相談しやすい環境について、考えてみます。

相談者が業務もしくはプライベートにおいて、何らかの課題を抱えた場合、誰かに相談することで、課題を共感してもらうことでメンタルが安らぎ、解決に向けた支援や意見を受けることができると、相談者にとってのゴールになり得ます。

言い換えれば、相談しやすい環境と整備する趣旨は、相談することではなく、相談したことで相談者の業務もしくはプライベートがスムーズになることです。その趣旨を相談者と相談を受ける人の両方に理解してもらうことが、大切です。

その為に、相談を受ける人は、この人なら相談できると思われる信頼を築き、相談者の発言を否定せずに受け止めて共感することで、相談者に安らぎを与え、一緒に解決策を検討する姿勢が必要となります。

相談できる環境を整備すれば、ハラスメント防止、メンタルヘルス対策、離職率の低下、組織の健全な成長、コンプライアンスの強化などに繋がることについて、管理職と従業員へ理解を深めることが、環境整備の目的を明確にします。

一方で、相談者が、相談に必要な準備を行うことは、相談しやすい環境の整備に必要な要素の一つです。必要な準備とは「何を聞きたいか」「どんな支援が欲しいか」「アドバイス、共感、対応のいずれを求めているか」等を明確にしておくことです。

その為に、相談に至る経緯や事実関係を時系列順に話せるようにする、自分の気持ちや要望を整理する、意見や判断を求める場合には相談者自身の考え方とその根拠を説明できるように準備することで、相談の受け止め方や正しい理解が進みます。

一般に、相談しにくい環境では、相談は弱い人の行為と考えている、相談者に過度な期待を求めない、相談したら直ぐに解決しないとゴールとみなさないなど、相談しやすい環境を阻害する文化や商慣習であることが多いようです。

例えば、相談者が自分の意見や相談事項がまとまっていなくとも、「少しお時間いただいて良いですか」「今から、お話できますか」などと声を掛けられたら、それは相談したいという意思表示です。相談を受ける側も、その意思を理解したうえで、受け止めることが有効な取組みです。

加えて、相談を受けた最後に、相談者の満足度を確認することも有効な取組みです。「相談してみて、どうだったか」「話してみて、少し楽な気持ちになったか」「一緒に解決策を検討することで、孤独感が薄れたか」などの問いかけです。

いずれにしても、相談する側と受ける側が少しずつ歩み寄る形で、理解を深めることで、組織の風通しが良くなります。逆に、相談した内容が他の管理職や従業員に漏れると、信頼を失うことになります。相談を受ける側には守秘義務があります。他の役員・従業員に相談する時は、事前に相談者に許可を取ることを忘れないで下さい。

環境作りは、役員、管理職、従業員のいずれかの努力や取組みだけで、成し遂げられることは、ありません。相談しやすい環境は社風であり、社内の文化の一部です。それゆえ、相談しやすい環境を守り、進化させるようにしていきましょう。

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