農林水産大臣の失言が発端となり、野党からの追及に加え、国民からも非難の声が上がったことから、大臣を交代しました。本日は、私見ではありますが、どこを向いて仕事をするかについて、考えてみます。
新旧大臣の違いは、どこを向いて仕事をするかに尽きます。旧大臣は、組織の長として、農林水産業の組織形態と市場の論理を正しく理解して、適切な対応を進めるように、指示しています。昨年より、コメ不足という異常事態が発生し、国民の主食が販売店の店先からなくなり、倍以上の価格で販売されるに至りました。
旧大臣は、この現象を備蓄米の放出により解消しようと考えました。しかし、既存の販売網の枠組みや販売価格については、市場原理に委ねました。その結果、備蓄米は大手卸売業者により高値で落札され、市場に直ぐには出回らず、販売価格は高いままでコメ不足は解消されませんでした。
旧大臣は、異常事態を正しく認識できなかったと思われます。コメ不足は消費者が困っている事象、その対策が備蓄米の放出、放出によりコメ不足が解消、価格が元に戻り、国民生活の安定に繋がるという絵を描けなかったことが、認識誤りに繋がりました。
新大臣は、国民生活の安定の為に、異常事態を速やかに解消し、次の対策を講じるべきと考えています。異常事態の解消により、国民生活を元に戻すという目的が明確です。備蓄米は随意契約で放出し、より安く早く販売できることを契約条件にしました。落札業者は即販売する義務が生じるので、自ずと落札業者は小売業者になります。安売り業者、一般コメ販売店、スーパーなどが、手を挙げると思います。
新旧大臣の違いは、どこを向いて仕事をするかという点です。共通しているのは、備蓄米の放出、市場原理に従う、コメ不足を解消する、官庁主体で対策を講じる点です。違いは、備蓄米の放出先、販売価格を下げる、即効性を求めるという点です。
国民生活の基礎を支えてきた農林水産業には歴史があり、強固な仕組みが構築されています。しかし、その仕組みは、異常事態が起こる前提ではありません。異常事態が起こった時こそ、どこを向いて仕事をするかという原点に立ち返るべきと感じました。
私が勤めていた保険業界は異常事態が多く発生し、顧客や取引先企業からの信頼回復が急務です。こんな時こそ、「どこを向いて仕事をするのか」を振り返り、業務プロセスや商習慣を見直し、考え方を変える活動が必要だと思います。最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。



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