監督指針の改正案3

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監督指針の改正案シリーズの3回目は、便宜供与です。代理店の体制整備義務の項目にも便宜供与の定義、ならびに具体的な態勢整備、過度な便宜供与と判断する基準について、記載されていますので、できるだけ平易な言葉で、ご説明します。

保険会社に求める態勢整備は、社内判断基準を作り、適切な教育・管理・指導の実施、コンプライアンス部署が意思決定や教育・管理・指導の実施に関与する、適切な頻度の内部監査を行う、代理店に対する監査を実施する、監査結果の取締役会等へ報告して評価し、必要ならば対応を検討する、顧客の商品選択の機会が阻害されている場合には、適切な解消措置を実施し、改善に向けた態勢整備を行うよう、明記されています。また、営業部門等の不当な介入を排除するよう、注意書きもあります。

代理店による過度な便宜供与とは、便宜供与の実績に応じて、契約数や引受シェアの調整が行われる場合、物品等の販売数量の目標設定や購入数量の割当て等が行われる場合、実質的に自社の保険商品の優先的な取扱いを誘引する場合が該当すると、はっきりと記載しています。

上記以外では、便宜供与の趣旨・目的、価格・数量・頻度・期間、及びその負担者等を総合的に勘案して、便宜供与によって生じ得る弊害の内容・程度を考慮し、社会通念に照らして妥当であるかにより判断することを保険会社に求めています。

判断は個別具体的に行われるべきと前置きはありますが、以下ケースは過度の便宜供与に該当すると記述しています。
①自社役職員に対し、数量等の報告や取り纏めを伴う物品の購入斡旋
②代理店の主催イベントにて、保険と関連性の低い役務を提供し、参加・協力
③同イベントにて、休日や業務時間外に参加・協力
④代理店が負担すべき費用を負担、又は代理店が行うべき業務を保険会社が提供
⑤役務の対価としての実態がない、対価性の検証が困難な業務委託費、協賛金、商標使用料、広告費用等の金銭を拠出

当局は、必要に応じて報告徴求を求めると、記載しています。疑わしい事象があり、保険会社が当局に報告してこない場合は、当局から報告徴求を求めることで、把握できる仕組みにしています。

監督指針には、保険会社は・・・という記載になっていますが、保険会社自らが便宜供与に該当する行為がある場合よりも、代理店に便宜供与に該当する行為の方が多いと予想されます。それゆえ、代理店側も、正しく理解することが必要です。監督指針を拡大解釈する、この程度までなら大丈夫と考えると、便宜供与と指摘を受ける可能性があります。ご注意ください。

なお、代理店の役員や従業員等が、個人として保険会社に便宜供与を求めた場合でも、代理店による便宜供与に該当し、行政処分や代理店処分を受けます。特に、役員、保険会社と直接接する機会がある募集人には、教育を徹底する必要があります。本日は、以上です。お読みいただき、ありがとうございました。

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