プロ野球の試合で、打者がサインを見落した為に、走者が盗塁して憤死したプレイがありました。試合ではボーンヘッドは許されないとして、監督は直後に当該選手を交代させ、翌日に二軍へ降格させました。本日は、本件について、事業活動の観点で考えてみます。
プロ野球では、複雑なサインを使っています。一般的には、監督の指示を受けて、サードコーチが打者と走者にサインを出します。サードコーチは、打者がサインを見ているかどうかは、分かっていたはずです。それゆえ、見落とした側だけのボーンヘッドではないはずです。
サードコーチの仕事は、サインを伝達することです。伝えた内容が相手に到達していない以上、サードコーチが仕事を全うしたとは言えないでしょう。事業活動では、指示が理解できないのは、上司と部下の双方に原因があると考えられています。
野球は違うと反論を受けるかも知れませんが、コーチは誰の目を見てサインを出すかを考えれば、明らかでしょう。当然、受ける側、すなわち打者と走者の顔を見ながらサインを出します。走者と打者が頷いて初めて、サインの伝達が終わります。
では、監督は誰の目を見ながらサインを出すでしょう。監督は、サードコーチが自分の出したサインを見ているかどうかを確認しながら、サインを出します。サードコーチがサインを見落したら、サインを出した監督が確認を誤ったということです。
その証拠に、三塁コーチがサイン出した後、一塁コーチが一塁走者の耳元でささやく様子が、テレビ画面に映ることがあります。一塁コーチは、サインの確認と注意すべき点を追加してささやいています。
本来は、打者と走者にサインを出すのは三塁コーチの役割です。しかし、野球はチームプレイであり、試合は全員で戦っている以上、他のコーチによるフォローがある組織が強いのだと思います。
その昔、巨人軍の監督がアンパイヤに代打を告げる際、「代打、川相!」と伝えると同時にバンドのしぐさをしてしまい、サインを出す前に戦略が伝わってしまったことがありました。これは、監督のボーンヘッドですね。
その監督が、先日89歳の生涯を終えた旨、報道がありました。記録以上に記憶に残る方で、選手に教える熱意は、報道を見ただけでも伝わってきました。相手に伝える、理解させる、実践させて初めて結果に繋がります。伝える仕草だけでは、結果は出ませんから、役割を果たしていないと評価されます。
今回のサイン見落としのニュースを通じて、サインを受ける側はサインが出るタイミングを見逃がさないように神経を集中させ、サインを出す側は、受ける側が見ているか、理解して頷いているかまで神経を集中させるべきであり、組織である以上、監督・コーチと選手とのコミュニケーションが、何より大切と感じました。
これは、企業の事業活動では当たり前となっていることですが、あらためて伝達の大切さを学ぶ機会になりました。他人が転ぶのを見たら、笑わないで学ぶ姿勢でいたいものです。



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