与党は、参議院選挙の公約に物価高対策として、国民一人当たり2万円の支給を盛り込む方向で検討している旨、報道がありました。本日は、目的と施策が一致することの大切さについて、考えてみます。
多くの国民は、選挙直前に国民全員に現金を支給するという政策を決定することは、選挙前のバラマキと感じたことでしょう。これは、正しい認識ではないでしょうか。与党の目的と施策が、一致しているから、正しく国民に伝わった証拠です。
物価高対策の中で、全国民の食卓に、特に大きく影響を与えているのが、おコメの値上がりです。5キロ2,000~2,500円程度が、1年間で4,000~5,000円と倍以上の価格になったからです。農水相が対策を講じている最中ですが、既に家計へのしわ寄せは進んでいます。要すれば、家計から既に多く支出してしまっています。
もし、おコメの値上がりにより家計支出が増えた分につき、国民一人当たり2万円の給付を行うと説明したら、どうだったでしょうか。一人月間5キロのおコメを食べるなら、既に月に約2千円、年間で24,000円多く支払っています。多く支払った2万円の給付を行うと説明すれば、国民の理解を得やすかったと思われます。
物価高がどの程度家計を直撃したかを具体的に数値で表さないまま、一人2万円給付と数値化したことが、バラマキと印象付けました。備蓄米の大量放出により、おコメの値段は下がる傾向にあります。多くの国民は、その効果を肌で感じ、好感を持っています。それゆえ、既に支払った分を給付により補てんすれば、より好感が増し、給付したお金は食費という名目となり、貯蓄より消費に優先されるでしょう。
今回の政策のミスは、物価高という漠然とした言葉を給付という具体的数値に置き換えてしまったことに尽きます。物価高対策は、この他にも低所得世帯・中小企業への重点支援、ガソリン・電気料金の高騰対策を継続しています。項目や対象ごとの対策を講じているのに、2万円給付対策には、項目や対象が伝わりません。
給付したお金が物価高全般に活用できると考えたとすれば、それは過信です。政策や施策は、小さくヒットすることで大きな副産物を得ることがありますが、大きなヒットを狙おうとすると、結果に対する満足感は少なくなります。
たった2万円もらっても、物価高対策にならないと考えるのが普通の国民感情です。最大の物価高対策は、賃金の上昇です。物価が上がった分に見合う賃金を上げれば、国民に理解しやすく、翌年以降の不安材料にも成り難いでしょう。逆に、コメ対策が進み、価格が落ち着けば、翌年は給付を止めても国民の理解が得やすいと思います。
政策の立て方や、選挙対策に詳しい訳ではありません。しかし、政策=選挙対策と考えるのが間違いだと思っています。選挙で投票するにあたり、国民生活全般に対する課題を持っていて、その中でも一番関心が高く、一番大切に感じている課題に、明確な政策を講じている政党を求めています。本日は、目的が施策と一致することについて、考えてみました。最期までお読みいただき、ありがとうございました。



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