郵便会社が、法令で定められた点呼業務につき、適切に行わず、一部は事実と異なる記録があるなど、多くの不備があったことを理由にして、行政処分を受けた旨、報道がありました。本日は、行政処分とその対応について、考えてみます。
運送業務に従事する事業者には、運行管理者が、運転者に対して点呼と確認することを義務付けています。
<出発前点呼>
① 運転者の健康状態につき、発熱・睡眠不足・体調不良などがないかを確認
② アルコール検知器による飲酒有無の確認
③ 日常点検の実施状況の確認(タイヤ・灯火類・ブレーキ等)
④ 運行経路や安全注意事項などの指示事項の伝達
<帰社時の点呼>
① 運転者の状態、車両の異常の有無、運行の異常有無を確認
② 飲酒運転の抑止の観点から、帰庫時のアルコールチェックも義務付け
アルコール検知器の常備と、検知記録の1年間保管を義務付けています。
たったこれだけですが、企業が法令の趣旨通りに義務を果たす為には、必要な事項があります。それは、それまでの社内業務フローを見直して、点呼が漏れなく行わせる仕組みの構築・運営と、新しい義務の必要性、罰則などを役職員全員が理解する機会を設けることです。加えて、適正に運営しているかを確認することです。
例えば、多くの運転者が同時に出発する業務フローのままだと、点呼が形骸化する恐れがあります。運転管理者は運転者の出発の都度、点呼業務を行うことで、他の業務との兼務が難しくなります。運転管理者が休暇や不在の場合、適正に運営するためのルールと運営が必要となります。
たったこれだけのことが出来ないと判断を受けて、弁明もせずに受け入れると判断した経営判断は、疑問に感じます。この程度の新しい仕組みが運営できないことは、内部統制に欠陥があり、業務品質が部署ごとにバラバラで統一されていないからではないでしょうか。
業務品質を語るには、まずは品質の統一から始めるべきです。統一しているからこそ、改善活動も統一化され、改善により品質が統一的に高まります。考えてみれば、当たり前のことですが、過去の慣習や経歴、管理者のモチベーションが低いことなどが原因で、品質の統一ができない業界が多いことも現実です。この事件を他山の石として、失敗の原因を自社の教訓にしていきましょう。
繰り返しになりますが、業務の品質を統一してこそ、品質向上のスタートラインに立つことが出来ます。品質の統一を避けていては、個々の従業員の資質に委ねられた品質のままで、向上することは理論上、あり得ません。まさに私が働いていた保険業界の弱みそのものです。
本日は、多数のリンゴの写真を掲載しました。どれもが同じ大きさ、同じ色、同じ形で統一されているからこそ、安心して購入できます。色も形も大きさもバラバラなリンゴが店頭に並んでいれば、購入したいと思わないでしょう。実際、農家では収穫の際、形や大きさ、色の異なる、劣る品は排除して自宅用とすることで、商品の品質を統一させています。品質の統一の大切さについて、ご理解いただけたでしょうか。
弊社では、品質の統一に向けた経営者やコンプラ責任者向けにご支援しています。ご支援が必要な方は、ぜひ本ホームページの「お問合せ」よりご連絡下さい。



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