商習慣の見直し

man in red polo shirt sitting near chalkboard

事業活動において、商習慣を見直すことは、難しい作業と言われています。それは、培った文化、言い回しなどの商慣習が同じことが要因と推察しています。本日は、コンプライアンス経営の観点で、商習慣の見直しの必要性について、考えてみます。

商習慣の見直しについて考えるにあたり、参議院選挙における政見放送を例に考えてみます。以下の文言は、当該政党が当たり前に使っているフレーズです。その商習慣に違和感がないかという観点で考えてみます。

物価高対策は、収入増対策以外に、給付金と消費税減税の二つの方法がある。給付金は、マイナンバーカードを活用すればスピーディーに可能。消費税減税は、国民が効果を感じるのに時間を要し、販売者の手間が増え、市場が混乱する。

正しいことを述べているように聞こえます。しかし、例えば、食料品の消費税をゼロにすると、買い物の都度、国民は効果を感じます。販売者には商品ポップの書き換えの手間はありますが、消費税欄の削除だけで足ります。売上や利益の集計はシステムが行うので、消費税の設定を変えるだけで、的確に把握でき、混乱は起こりません。

次に、コメ問題は、減反政策によりコメ不足が生じた。入札契約を随意契約に変更し、大量の備蓄米を市場に投入して価格を下げるよう誘導して、コメの高騰は解消しつつある。

正しくは、減反政策と輸入制限により、コメ価格が高騰して国民生活に影響するまで把握できなかったのではないでしょうか。当初は備蓄米を入札契約で市場投入する対策を講じたが、流通詰まりは解消できなかった。随意契約への変更は効果があり、流通詰まりが解消しつつあるというのが、正しい認識ではないでしょうか。

最後は、日本は、日本だけの国益を考えれば良いという考え方ではいけないという発言です。同盟国が自国ファーストを掲げ、関税引き上げを明日にも通知してくる状況において、この認識は適切でしょうか。

対日貿易赤字の増大対策として、自国の産業を守る為に関税引き上げ政策を実施するのは、理に適っています。日本の輸出産業は、輸出国の見直し、輸出量の見直しなどで対応するのが、道理と思います。自国の輸出産業の現状が正しいと考えていること自体が、自国の国益だけを考えているに等しいと思われます。

本日は、政見放送を例にして、今まで通りの発言の中には、市場の実態や事業を取り巻く環境の変化を取り入れていないことがあり、それを商習慣というのであれば、商習慣の見直しが必要になることについて、考えてみました。

いつものフレーズや常識が、恒久的に正しい訳ではなく、環境の変化や社会の常識の変化を取り入れて、少しずつ考え方を修正していくことが、求められています。なお、政治的な背景や思想がある訳ではないことにつき、ご説明しておきます。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント