代理店に求める能力

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保険会社に勤めていた頃は、代理店さんに能力向上を求めました。主に新規契約の獲得、企業団体への深耕、照会応当レベルの向上等、営業推進と契約手続きに関する知識です。本日は、消費者目線で、代理店に求める能力について、考えてみます。

まず、生命保険は、コンサルティングサービスを謳いながら、推奨する商品を広告宣伝で定めていることに、違和感を持っています。お客様の家族構成、10年後に起こり得るリスクや生活スタイルの変化、定年を迎える頃に必要な補償など、現在と将来の両方のリスク環境に向き合う機会であるはずなのに、募集と言う名のもとに、その機会が提供されていないと感じます。

また、一個人の消費者としては、毎年の健康診断の結果を踏まえて健康状態を分析し、万が一に備えて、保険を使うシュミレーションや不足している補償などについて、情報提供して欲しいと思っています。

こうしたコンサルティングサービスが終わった後に、比較推奨販売や必要な補償の提案などの営業活動に入るのが、求められる保険募集の流れではないでしょうか。そういう流れをお客様に提供できる能力が、代理店には求められていると思います。

一方損害保険は、契約の更新手続きを重んじるのではなく、更新を迎えるまでの数か月間に、昨今発生しているリスクや必要な補償をもとに、現在の契約を見直すきっかけとなる情報提供と理解促進に力を入れるべきではないかと思います。多くの代理店は早期更新を求めてきますが、手続きの完了を早めるだけの行為であり、新たなリスクの認識機会や補償見直しの機会を減らしていると感じます。早期更新は、顧客本位の業務運営からかけ離れた行為と、感じます。

そもそも、損害保険は、補償内容が多岐に及んでいることから、加入内容について、繰り返し説明してもらい、正しく理解してもらう必要がある商品です。特に、自動車保険や火災保険は補償項目が多く、保険事故に関係のないサービスもあります。こういう説明をしてくれる代理店が、消費者からすると助かります。

また、加入している保険に課題がある場合には、代理店が認めた課題について、解決方法を提示して欲しいです。仮に乗合代理店であれば、他社商品との比較推奨をして欲しいです。課題の有無にすら言及していない現状があるなら、そもそも比較推奨義務が意味を成しません。顧客本位の業務運営を行う為のツールの一つとして、比較推奨という作業があるのではないでしょうか。

更に、保険代理店は、お客様は忙しいと誤解していることが不思議でなりません。本当は、お客様が忙しいのではなく、代理店からの情報提供に魅力を感じないから、忙しいと言って面談しないのです。コスト・パフォーマンスやタイム・パフォーマンスを重視し過ぎていませんか。代理店としての魅力は、情報提供力と課題に対する解決力です。お客様を魅了できる代理店が、増えることを期待しています。

ここ10年で火災保険と地震保険は、保険料水準が2倍になりました。当該保険には、10年前は月々9,000円、現在は月々18,000円支払っています。東日本大震災以降、国内で頻繁に地震による大きな被害が発生し、更に台風、突然の豪雨災害、ひょう災など、災害は年々増えています。現在の補償で十分なのか、災害が来る前に家屋の修繕の要否等の情報は、代理店から教えて欲しいと感じます。

本日は、消費者の立場から、代理店に求める能力について、考えてみました。保険は目に見えない商品でありサービスです。消費者が目に見えない物を理解して、欲しがる為には、それを意識させる説明や情報提供が必要です。これから強くなっていく代理店さんには、そうした能力を備えていただきたいと考える次第です。

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