配達の常識

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ネット通販の拡大に伴い、宅配が生活に根付き、生活常識の中に配達文化が加わりました。一方、ドライバー不足、法令改正に伴う物流業界の輸送力低下により、再配達が困難になってきました。本日は、配達の常識について、考えてみます。

この環境下を踏まえて、国土交通省は、置き配を宅配便の基本ルールを定めた「標準運送約款」に盛り込み、普及させたい意向があります。物流業界関係者も交えた検討会で、今秋までに方向性をまとめることとしています。

置き配と一言で言っても、消費者側の置き配の捉え方は大きく異なります。私も置き配を活用していますが、配達時間帯に自宅にいることを前提とし、配達した旨のメールを受信すると、直ぐに荷物を家に持って入ります。配達時間までに帰宅できない時も、戸建て住宅で玄関前にクルマがあり外部から商品を隠すので、盗難や水濡れのリスクが小さく、かつ生鮮食料品は配達にしないことで、リスクを管理しています。

ところが、置き配は在宅していない時に依頼するツールと定義すると、配達物の盗難や水濡れのリスクや、生鮮食料品固有のリスクは、自分で管理できません。マンション住まいの場合は、玄関ドア前を不特定多数の人間が通過し、盗難や異物混入リスクが高まります。この場合、これらのリスクを一定程度許容するなど、リスクと向き合う必要が生じます。

置き配の中には、配達人が配達記録メール等で連絡する会社があります。しかし、配達直後にメールできるか否かは配達人の技量に依ります。更に、受け取り側が着信してから読むまでの時間リスクがあり、置き配を狙ったいたずらリスクもあります。

置き配は、安全な状態で届くという常識は、もはや常識ではないと考えるべき時期に来ています。安全に届く為には、配達人から直接受け取る、他人が開けられない宅配ボックスやロッカーを常備すること等で、安全を確保することが宅配の常識になりつつあります。

玄関前に防犯カメラを設置する対策もありますが、犯人を警察に捕まえてもらうことが目的ではありません。この種の対策は、けん制にはなりますが、安全を確保する対策ではないことを理解すべきでしょう。

今後は、置き配が宅配の基本になることが、社会の常識になると思われます。社会の常識に合うように、配達人の手を離れてから自分の手元に届く間を安全な状態にすることが、我々に求められている新しい常識になると思われます。

加えて、配達人の方々に対するリスペクトを忘れないようにしたいと思います。重い荷物も届けてくれる、猛暑や悪天候の時も通常通りに届けてくれる、夜間や早朝に届けてくれるなどへの感謝の気持ちです。宅配の基本が置き配になるのであれば、宅配約款が変わる以外に、消費者側の常識も変えていくことが、住みやすい社会を作ることになると感じました。

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