生命保険への問題提起

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生命保険の見直し——多くの方が「今の生活やリスクに合わせて契約し直した」と語ります。 しかし私は、保険制度そのものが「契約者が見直しを迫られる仕組み」になっていることに、長年違和感を抱いてきました。

生命保険の補償リスクは、一般的に年齢を増すごとに、リスクが高まります。一方で、生命保険の多くは、長期補償契約です。これは、若い頃にリスクより多くの保険料を支払い、年齢が増しても保険料が上がらないというメリットがあります。とすれば、年齢が上がった時に生命保険の補償内容を見直して、新たに契約に加入するというのは、保険事故がなければ、より高い保険料で入り直すことになります。

保険会社側としては、若い頃とはリスクや収入額も変わり、家族ができるなど家庭環境も変わり、リスクを見直すことは理に適っているそうです。更に、ガン保険などには、新たに高額医療にも支払いを受けられる特約も付けられることから、より現実に見合った契約に見直しを行うことが可能という説明になります。

私が現状の生命保険に対して感じている課題は、以下のとおりです。
1.保険商品の変化と違和感
 〇 補償内容が“現実に合った”という説明には、実は補償の縮小も含まれている
 〇 入院日数の限度が極端に短くなったことなど、契約者の不安を招くケースもある
 〇 高額医療制度など新しいニーズの為に、解約して入り直すケースもある
2.代理店販売の仕組みによる影響
 〇 生命保険の営業職員や代理店の募集人が、入社から数年間で退職してしまう
 〇 新契約が評価対象になり、既存契約を活かす提案がされにくい
 〇 手数料が初年度集中型のため、営業職員や代理店が“見直し”を薦めるインセンティブが強い

この課題を解決する為に考えた対策は、以下のとおりです。
 〇 長期契約型だけでなく、毎年更新型の商品設計を選べるようにする
 〇 営業手数料の設計も、更新に伴う支払いが継続するように見直す
 〇 解約→新規加入ありきではない「顧客本位の制度や業務運営」へ転換を進める

20代の頃に月々1万円の生命保険に加入して、30代で月々1.5万円の契約に見直しを行い、40代で月々2万円の契約に見直しを行っている人は、生命保険のメリットである補償期間において保険料が変わらないというメリットを放棄しています。

保険会社側がお客様の生活に寄り添い、保険の仕組みを変えて、長期間の補償契約を見直さずにシニアまで安心できることを求めるべきではないかと考える次第です。長期補償を継続することで、お客様側が受けるメリットを優先すべきと思います。

販売側の報酬構造が、顧客本位の見直しや業務運営を妨げていると感じます。また、少子高齢化の影響で、純粋に新規で加入する若い契約者は、極端に少なくなっています。新規加入層の減少が、制度全体の見直しを促していると思います。

私が求める生命保険制度の形をまとめると、以下のとおりです。
 〇 契約者が“見直しを迫られない”設計であること
 〇 若年加入者の補償を、シニアまで継続できる仕組みであること
 〇 営業側の評価軸が“契約者メリット”と連動する構造であること
 〇 社会環境の変化に合わせて、商品設計そのものが更新されること

本日は、生命保険の制度や構造について、私見を述べました。最後までお読みいただき、ありがとうございました。この変化の時代にこそ、契約者本位の制度改革が進むことを願ってやみません。

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