経営者の行動と組織の信頼

最近、ある著名企業の経営トップが、違法性が疑われる製品を個人で購入したとして、報道機関により取り上げられました。その後、企業側は「トップとしての資質に欠ける」として、辞任を受理したと発表しています。本人は違法性を認識していなかったと説明していますが、社会的な影響は大きく、企業の信頼にも影を落とす結果となりました。

この一件は、企業の経営陣にとって、私的な行動であっても慎重さが求められる時代であることを改めて示しています。

＜「個人の行動」が組織の信頼に直結する＞
経営層の行動は、たとえ業務外のものであっても、企業のブランドや顧客の安心感に影響を与えます。特に、企業が関連する事業領域において、トップが他社製品を選択する際のリスクは、想像以上に大きいものです。

＜「知らなかった」では済まされない立場＞
法令遵守は当然のことながら、社会的な感度や情報収集力も、経営者に求められる資質の一つです。今回のような事例では、違法性の有無にかかわらず、「知らなかった」という説明が通用しないことを、私たちは認識する必要があります。

＜経営陣こそ、危機意識の共有を＞
この報道を契機に、企業の役員会議やミーティングにおいて、経営陣が本件について意見交換を行い、自らの行動が組織の信頼にどう影響するかを再確認することが重要です。私的な消費行動であっても、慎重さを欠けば、組織全体が「二の舞」となる可能性がある――この危機意識を、経営層で共有することを強く提案したいと思います。

企業の信頼は、日々の積み重ねによって築かれます。そしてその信頼は、トップの一挙手一投足によって、簡単に揺らぐこともあるのです。私たち一人ひとりが、組織の顔としての自覚を持ち、行動の質を高めていくことが、これからの企業経営において欠かせない視点ではないでしょうか。