これまでのブログでは、保険業法改正を受けた社内ルールの整備や運用について考察してきました。 しかし、制度やルールを整えるだけでは、組織の判断力は育ちません。 今回は、従業員や組織長が「考える習慣」を持つことの重要性について、経営者の視点から掘り下げてみたいと思います。
<なぜ“考える習慣”が必要なのか>
制度やルールは、判断の土台にはなりますが、すべてのケースを網羅することはできません。 現場では、日々「これはどう判断すべきか」「この対応は妥当か」といった問いが生まれます。 そのときに必要なのは、自ら考え、問いを立てる力です。
〇 想定外のケースに対応できる
〇 顧客や社会の視点で判断できる
〇 組織としての信頼を守ることができる
こうした力は、ルールではなく、習慣としての“問いかけ”から育ちます。
<組織に“考える習慣”を根づかせる工夫>
以下は、代理店組織の中で「考える習慣」を育てるための具体的な工夫です。 規模や業態に応じて、無理なく取り入れられる形で設計できます。
1.日常業務に問いを添える
〇 朝礼や終礼で「最近、迷った判断はありましたか?」と問いかける
〇 チェックリストの活用時に「この項目はなぜ必要か?」を考える時間を設ける
〇 業務マニュアルの更新時に「このルールは現場に合っているか?」を話し合う
業務の中に“考える瞬間”を埋め込むことで、習慣化が進みます。
2.組織長が“問いかけ役”になる
〇 管理職が「これはどう思う?」と部下に問いかける習慣を持つ
〇 判断に迷った場面では、答えを出す前に「一緒に考えよう」と声をかける
〇 会議や面談で「この対応は、顧客のためになっているか?」という視点を共有する
組織長が“答えを持つ人”ではなく、“問いを投げる人”になることで、考える文化が広がります。
3.事例を使って考える場をつくる
〇 月1回の「判断事例ミーティング」で、実際のケースをもとに話し合う
〇 「経営理念に合っているか?」「この対応は適正か?」などの問いを共有する
〇 他社や他業界の事例や業界ニュースを題材に、視点の違いを話し合う
事例は“考えるきっかけ”として、非常に有効です。
<まとめ>
制度やルールは、組織の判断を支える枠組みです。 しかし、それを活かすためには、従業員や組織長が「考える習慣」を持つことが不可欠です。 問いかけの文化が根づいた組織は、制度改正にも柔軟に対応でき、顧客や社会からの信頼を守る力を持ちます。
次回は、こうした“考える習慣”は必要だということは共感できるけれど、どうやって始めたら良いかは分からないという方々向けのテーマにしたいと思います。 本日も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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