問いの習慣を“改善の力”に

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前回は、役員や管理職が「問いを持つ習慣」を育てることの重要性について考察しました。 今回はその続編として、こうした問いの習慣を、組織全体の改善やルール見直しにつなげる方法について、さらに掘り下げてみたいと思います。

<なぜ“問い”が改善につながるのか>
制度やルールは、整備した時点では“仮説”にすぎません。 現場で使われ、問い直され、見直されることで、初めて“生きた仕組み”になります。 そのためには、現場からの問いを拾い、改善につなげる仕組みが必要です。
 〇 「このルール、現場に合っているか?」
 〇 「この対応、顧客にとって妥当だったか?」
 〇 「この判断、他の部署でも同じようにできるか?」
こうした問いが、改善の出発点になります。

<問いを改善につなげるための仕組み>
1.“問いの記録”を残す
 〇 研修やミーティングで出た問いを、議事録や共有メモに残す
 〇 社内通報・相談窓口で寄せられた「迷い」や「違和感」を記録する
 〇 チェックリストの使用時に出た疑問を、定期的に集約する
記録があることで、改善の材料が蓄積されます。

2.“問いの振り返り”を定例化する
 〇 月1回の「ルール振り返り会議」を設ける(30分でも十分)
 〇 「最近、判断に迷った事例は?」をテーマに話し合う
 〇 「このルール、現場で使いにくくないか?」という視点で見直す
振り返りがあることで、ルールが“使われるもの”になります。

3.“問いから改善案”を引き出す
 〇 「このルール、こう変えたらどうか?」という提案を歓迎する
 〇 改善案は、現場・管理職・コンプライアンス部門で一緒に検討する
 〇 小さな改善、見直しでも、試行→評価→定着の流れをつくる
改善案が出ることで、組織が“自分で育つ力”を持ちます。

4.“問いの文化”を評価する
 〇 判断に迷った事例を共有した人を、評価の対象にする
 〇 「問いを持った」「改善案を出した」ことを、表彰やフィードバックに反映する
 〇 ルールを守るだけでなく、“育てる姿勢”を評価する
評価されることで、問いの文化が根づきます。

<まとめ>
問いの習慣は、個人の思考を深めるだけでなく、組織全体の改善とルールの進化を促す力になります。 制度改正や社会の変化に対応するには、整備されたルールを“問い直し、育てる”文化が不可欠です。社内で常識やルーティンと考えられていたことが、実は社会やお客様からは、非常識や使えないと思われていることに、気づく機会にもなります。

次回は、こうした改善の流れを、具体的な事例やルール改訂のプロセスにどう落とし込むかについて、さらに掘り下げてみたいと思います。 本日も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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