監督指針改正を踏まえた体制整備(前編)

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2025年8月末、金融庁による「保険会社向けの総合的な監督指針」が改正され、代理店にも「顧客本位の業務運営」を実効性あるものとして求める内容が含まれました。 特に、保険会社との関係性や業務品質の確保・向上に関する項目は、体制整備に直結します。本日は、代理店経営者の皆様が「自社でもできることから始めよう」と感じていただけるよう、体制整備の視点から、前編として2つのポイントを取り上げてみたいと思います。

<体制整備の視点①:業務品質の確保・向上と記録・検証の仕組み>
業務品質の確保は、顧客本位の業務運営の土台です。 しかし、それだけでは不十分で、品質を“向上させる”仕組みがあってこそ、体制整備は進化します。
 〇 契約時の説明内容や提案の根拠を、記録に残す
 〇 苦情、お褒めの言葉、事故対応の履歴を、社内で共有・分析する
 〇 保険会社とのやり取り(制度説明、要請事項など)を記録し、社内で検証する
 〇 募集人ごとの対応傾向や改善点を、定期的に振り返る機会を設ける
そして、記録を残すだけではなく、それを“拾い上げる仕組み”が必要です。例えば、記録や履歴を誰が管理し、どのようなルールで閲覧・抽出するのか。その中から、業務品質向上につながる事象を経営者へ報告する流れがあることで、記録は“活きた情報”になります。完璧な仕組みでなくても構いませんが、記録を残すことから始め、拾い上げる仕組みを整えていくことまで進めることが大切です。

<体制整備の視点②:教育・研修の自社設計と定着支援>
教育・研修は、代理店の自立性を支える柱です。 保険会社任せず、自社で設計し、定着させる仕組みがあるかどうかが、問われています。
 〇 業界共通試験や一般過程の内容を自社で整理し、募集人に伝える
 〇 保険会社の制度や商品情報を、自社の業務にどう活かすかを研修で共有する
 〇 苦情対応や事故対応の事例をもとに、募集人同士で学び合う場をつくる
 〇 新人研修だけでなく、旧人にもフォローアップ研修を継続する設計を行う
但し、教育担当を任命するだけでは不十分です。 担当者に任せきりにすると、研修が“実施すること”に偏り、“定着させること”が置き去りになるからです。経営者自身が教育の目的や内容に関心を持ち、現場と対話する姿勢があることで、研修は“文化”として根づいていきます。小さな勉強会でも構いません。まずは、現場で起きたことを題材に、対話の場をつくることから始めてみてはいかがでしょうか。

<まとめ>
監督指針の改正は、代理店にとって「何かを変えなければならない」というプレッシャーではなく、 「今の体制を見直すきっかけ」と捉えて下さい。 業務品質の記録・検証、教育・研修の自社設計――どちらも、すぐに完璧に整える必要はありません。「できることから始め」て、実務に活かしていくことが、顧客本位の業務運営への第一歩です。本日も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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