高齢化が進む中で、保険代理店に求められるのは「高齢者にやさしい提案」だけではありません。“理解しやすく、安心して契約できる環境”を整えること、そして“契約後も継続的に支える体制”を築くことが、業務品質の高い代理店の証です。本日は、代理店が高齢世帯・高齢者に対して、具体的にどのような観点で取り組むべきか──実務に活かせる視点を整理してみたいと思います。
<観点①:情報の把握と共有体制の整備>
〇 高齢契約者の家族構成、生活状況、健康状態(認知症の兆候含む)を把握
〇 家族・親族との連絡体制(同席の可否、緊急連絡先、後見人の有無)を確認
〇 社内での情報共有ルールを整備(個人情報保護と実務のバランス)
〇 高齢者を抱える世帯を把握して、「備え」の知識を提供
取組み例:
〇 認知症リスクを感じた場合の社内相談ルートを明確化
〇 契約時に「ご家族の同席希望」欄を設ける
〇 高齢者対応に関する社内メモを定期的に更新・共有
〇 高齢者に寄り添う為のノウハウを提供
<観点②:説明・提案の工夫>
〇 難解な専門用語を避け、図解や事例を用いた説明を行う
〇 商品の特徴だけでなく、「なぜこの保険が今必要なのか」を生活背景に沿って伝える
〇 契約内容の要点を一枚にまとめた「確認シート」などを活用
取組み例:
〇 「ご家族への説明用資料」も併せて提供する
〇 「ご契約内容の要点まとめ」シートを作成し、面談時に活用
〇 商品比較表を使って、選択肢を視覚的に提示
〇 上記取組みを社内で仕組み化して、漏れなく提供することで業務品質を管理する
<観点③:契約後のフォローと見守り>
〇 定期的な連絡(年1回の契約確認、生活変化のヒアリング)
〇 住所変更や入院など、生活変化の兆しを見逃さない体制
〇 苦情・不安の声を拾い上げ、社内で共有・改善につなげる
取組み例:
〇 苦情・ヒヤリハット事例を社内で共有し、対応マニュアルを更新
〇 「高齢契約者フォロー月間」を設け、定期連絡を実施
〇 電話や訪問時に「最近、お困りのことはありませんか?」と一言添える
<観点④:保険会社との連携と制度活用>
〇 認知症対応型保険、代理人制度、家族登録制度などの活用
〇 保険会社の高齢者対応ガイドラインや研修制度を積極的に取り入れる
取組み例:
〇 代理人登録制度の案内を、契約時の説明に標準化する
〇 保険会社と「高齢者対応」の意見交換を行い、社内の仕組みに組み込む
〇 認知症対応型商品の一覧を社内で整理し、提案時に活用
<まとめ>
高齢者対応は、「やさしく話す」だけでは不十分です。 情報の把握、説明の工夫、契約後の見守り、制度の活用──これらを一つひとつ丁寧に積み重ねることが、信頼と安心につながります。代理店だからこそできる“寄り添いのかたち”を、現場から実践していきましょう。本日も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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