2025年秋、アサヒビール、アスクル、AWSなど、名だたる企業が相次いでサイバー攻撃の被害に遭いました。特にアスクルは、ランサムウェアによって受注・出荷業務が全面停止し、無印良品やロフトなどの取引先にも影響が波及。アサヒビールでは、主要商品の出荷停止や歳暮ギフトの遅延が発生し、損害額は100億円超とも報じられています。
こうした事例は、企業規模や業種を問わず、サイバー攻撃が“経営リスク”であることを改めて示しています。保険代理店としても、こうしたリスクに対して「何を伝え、どう備えるか」が問われる時代です。本日は、企業が取るべき備えを「防御」「初期対応」「保険活用」の3つの観点で整理し、保険代理店が顧客に提供できる情報としてご紹介します。
<観点①:防御──“入口”と“内部”の二重対策>
〇 入口対策:メールフィルター、ウイルス対策ソフト、ファイアウォールの強化
〇 内部対策:アクセス権限の最小化、重要データの分離、バックアップ体制の整備
〇 社員教育:怪しいメールの見分け方、USBや外部リンクの取り扱いルールの徹底
〇 サプライチェーン対策:取引先のセキュリティ水準の確認と共有
<保険代理店が提供できる情報>
〇 サイバー保険加入の前提となる“最低限の防御体制”の説明
〇 「サイバー攻撃の初期兆候」や「社員教育のポイント」をまとめたチェックリスト
〇 顧客企業の業種に応じたセキュリティ対策の事例紹介
<観点②:初期対応──“止める・知らせる・残す”が基本>
〇 止める:ネットワーク遮断、感染端末の隔離、ログイン停止
〇 知らせる:社内通報、保険会社・顧客・取引先への連絡、法令に基づく報告
〇 残す:ログの保存、被害状況の記録、復旧までの経緯の整理
<保険代理店が提供できる情報>
〇 顧客企業が“保険を使える状態”にするための準備支援
〇 「サイバーインシデント対応マニュアル」の雛形や作成支援
〇 保険会社への連絡ルートや、初動対応の記録方法のアドバイス
<観点③:保険活用──“損害補填+復旧支援”の両輪>
〇 サイバー保険の補償範囲
復旧費用(システム再構築、外部専門家の費用)
営業損失(売上減少、機会損失)
賠償責任(顧客情報流出による損害賠償)
広報対応(謝罪広告、ブランド回復支援)
〇 加入時の注意点
インシデント発生時の連絡体制と支援内容
補償上限額と免責金額の確認
自社の業務特性に合った補償内容かどうか
<保険代理店が提供できる情報>
〇 サイバー保険の補償内容と活用事例の紹介
〇 顧客企業の業務に合った補償設計の提案
〇 保険会社との連携体制の整備支援
<まとめ>
サイバー攻撃は、もはや「IT部門だけの問題」ではありません。防御・初期対応・保険活用──この3つを組み合わせてこそ、企業としての“備え”になります。保険代理店としても、こうした情報提供を通じて、お客様の安心と事業継続を支えることができます。「保険を売る」だけでなく、「リスクに備える知恵を届ける」ことが、これからの代理店の価値です。本日も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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