これまでは、コンプライアンス制度の実効性を高めるために、制度の運用状況をセルフチェックし、課題を見つけ、改善策を考えることの重要性をお伝えしてきました。今回は、制度を根づかせるための風土づくりに欠かせない対話についてご紹介します。
<制度は対話によって根づく>
制度は、紙やマニュアルの中にあるだけでは機能しません。現場で使われ、語られ、改善されてこそ、制度は“生きた仕組み”になります。そのために必要なのが、制度について語り合う「対話の場」です。しかし、ただ「話し合いましょう」と言っても、対話は生まれません。制度の趣旨や目的を共有し、現場の声を引き出し、改善につなげるためには、対話の設計が必要です。
<対話を設計する3つの視点>
1.目的を明確にする
〇 「制度の理解を深めるため」なのか
〇 「現場の課題を拾うため」なのか
〇 「改善策を共に考えるため」なのか
目的によって、問いかけの内容や進め方は変わります。
2.問いを工夫する
〇 「この制度、現場でどう感じていますか?」
〇 「使いづらさや、わかりにくさはありませんか?」
〇 「もっと良くするために、どんな工夫ができそうですか?」
こうした問いは、現場の気づきを引き出す起点になります。
3.場をつくる
〇 定例ミーティングの中に5分だけ設ける
〇 アンケートや付箋ワークで声を集める
〇 管理職が1on1で制度の話題を取り上げる
形式は自由ですが、「制度について語っていい」という空気をつくることが大切です。
<対話が風土をつくる>
制度が根づくかどうかは、制度をめぐる対話の質にかかっています。対話を通じて、制度の意味が共有され、現場の知恵が集まり、改善が生まれます。その積み重ねが、制度を自分ごととして捉える風土を育てていきます。
<まとめ>
制度を育てるには、問いが必要です。問いが対話を生み、対話が風土をつくり、風土が制度を根づかせます。こうした視点を持ち、制度設計や運用支援だけでなく、「制度を語り合う場づくり」や「問いの設計」を通じて、お客様の健全な組織づくりを支えていきたいと考えています。最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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