昨年、自家用車の自動車保険を、36年間勤務した東京海上日動火災社から、東京海上ダイレクト社へ変更しました。理由はシンプルで、保険料の高騰です。これまでは、東京海上日動の子会社代理店を通じて、退職者団体扱いの割引を活用して加入していました。しかし割引率が下がったこともあり、ダイレクト社と比較したところ、約12万円の保険料が約6万円と、半額になったのです。団体扱いであっても、ネット保険会社の方がはるかに安い。これは、私自身にとっても大きな衝撃でした。
1.従業員と退職者では、求める価値が違う
企業によっては、自社従業員が自社代理店で団体扱い契約をすると、
〇 保険料の一部を福利厚生費として補助
〇 団体扱い加入を通勤認定の条件にする
〇 数年に一度、安全運転講習を実施する
といった従業員向けの価値提供を行っています。しかし、退職者になると状況は一変します。
〇 福利厚生の補助 → なくなる
〇 通勤認定 → 通勤がなくなる
〇 安全運転講習 → 対象外になる
〇 代理店からの接点 → 年に数回のメール程度になる
こうなると、契約者の視点は自然と「保険料はいくらか」に向かいます。退職後数年が経つと、団体扱いの恩恵は、ほとんど残りません。
2.団体扱い=合理的な選択とは限らない
更新手続きはメールで案内が届き、自分で指定サイトにアクセスして手続きを行います。事故が起きても、保険会社から直接連絡が来て、交渉経緯の報告も保険会社が主導します。つまり、代理店に依頼するメリットが実感しにくいのです。それでいて保険料はダイレクトの倍近い。この状況では、合理的な選択とは言えません。まして、自動車保険の事故は平均10年に一度。「万が一のときのために倍の保険料を払う」という考え方は、シニアにとって現実的ではありません。
3.企業代理店は、お客様を「ひとまとめ」にしてはいけない
企業代理店の多くは、「従業員・退職者・一般顧客」を同じ枠で扱いがちです。しかし、求める価値はまったく違います。
〇 従業員 → 福利厚生・通勤認定・講習などの付加価値
〇 退職者 → 保険料の合理性・生活防衛
〇 一般顧客 → 代理店のサービス品質・接点の多さ
この違いを理解しないまま、「団体扱いだから」「うちは企業代理店だから」という理由だけで加入を維持してもらうのは、難しくなっています。
4.選ばれ続けるために必要なこと
代理店が生き残るためには、自社を良く見せることよりも、契約者に価値を届ける仕組みが必要です。例えば、
〇 毎年の更新時期にリスクの見直し
〇 新しい情報の提供
〇 保険会社サービスの使い方のサポート
〇 安全運転支援(特にシニア向け)
〇 法令改正による環境変化の説明
〇 金融商品に関する基礎情報の提供
こうした複数の接点を継続的に積み重ねることで、初めて代理店の優位性が生まれます。電話や郵送だけ、まして契約者自身に手続きを丸投げするような非サービス化では、これからの時代は生き残れません。
<まとめ>
変化の時代において、代理店には、価値の再構築が求められています。高齢化が進み、年金生活者が増え、 保険料の見直しが当たり前になる時代です。団体扱いだから安心、企業代理店だから大丈夫、という時代は終わりつつあります。これからは、「代理店で加入する意味」を契約者が実感できるかどうか。そのために、サービスのタイミング、頻度、内容を見直し、新しい価値提供の形を考えることが必要だと思います。こうした変化の中で、私たち契約者も、そして代理店も、改めて保険との向き合い方を考える時期に来ているのかもしれません。
本日は、自分の経験から気づいたことを、少しだけお話ししました。これからの保険選びやサービスづくりに、ほんの少しでもお役に立てれば嬉しいです。



コメント