公平な比較推奨に必要なポイント

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6月の保険業法施行を目前に控え、比較推奨販売に関する準備もいよいよ最終段階に入りました。その中で、旧ハ方式が廃止され、多くの代理店がロ方式へ移行する流れが見られます。しかし、ここにひとつ盲点があります。ロ方式は「公平な比較」が前提であるにもかかわらず、その比較表を作るのは代理店自身であるという点です。制度の本質を守るために、この問題を整理しておく必要があります。

1.ハ方式が廃止された理由
旧ハ方式は、代理店の都合による推奨を認める方式でした。
 〇 事務効率が良い
 〇 手数料が高い
 〇 その会社の商品に慣れている
 〇 代理店の経営方針に合う
こうした代理店側の理由で推奨が行われる構造は、顧客本位の業務運営とは矛盾します。そのため、今回の改正でハ方式は完全に廃止されました。これは制度の厳格化ではなく、顧客本位を徹底するための流れです。

2.ロ方式の落とし穴
ロ方式は、複数社の商品を公平に比較し、顧客が選べるようにする方式です。しかし、ここに大きな問題があります。比較表を作るのは代理店自身なのです。つまり、比較表には次のような代理店の価値観が反映されることになります。
 〇 A社の取扱いが多い
 〇 A社の商品に詳しい
 〇 A社の事務が楽
 〇 A社の手数料が高い
こうした背景を持つ代理店が比較表を作れば、A社が有利に見える比較表ができてしまうのは当然です。制度上はロ方式でも、比較表の作り方次第でハ方式になってしまう危険性があります。

3.代理店側への注意喚起
ロ方式は「比較表を作ればOK」ではありません。本質は、公平な比較ができているかどうかです。代理店が注意すべきポイントは、以下の通りです。
 〇 比較表は代理店都合を排除する
 〇 顧客意向に沿った比較基準で作成する
 〇 自作比較表の偏りに気づきにくいことを自覚する
 〇 「慣れている会社」「事務が楽な会社」を基準にしない
 〇 制度の精神(顧客本位)を守ることが最優先
 〇 比較表は、募集文書に該当する為、各社への申請許可が必要
制度が変わっても、比較表の作り方が変わらなければ、顧客本位は実現しないことについて、ご理解いただけたでしょうか。

4.保険会社側にも求められる責任
公平な比較を実現するためには、代理店だけではなく、保険会社側の協力も不可欠です。現状、各社の商品説明書きは——
 〇 表現の粒度がバラバラ
 〇 情報量が異なる
 〇 比較しやすさに差がある
この状態では、代理店が公平な比較表を作ることは困難です。保険会社は、比較可能な粒度で商品説明書きを提供する責任があります。各社の商品パンフレットで比較表に代用しようと考えているならば、顧客は全社のパンフレットを比較しながら読まねばならず、それを代理店が丁寧に説明するイメージを思い浮かべるのでしょうか。実務を考えると、現実性に乏しい場面だと思われます。
補償内容、免責事項、特約、付帯サービス、価格構造などを比較できる形で提供することが、顧客本位の実現に直結します。

<まとめ>
ハ方式の廃止は、顧客本位の実現のために行われました。ロ方式は、公平な比較が前提になります。比較表を代理店が作る以上、偏りのリスクは常に存在します。代理店は制度の精神を守る責任があります。一方で、保険会社は比較可能な情報提供を行う責任があります。公平な比較推奨は、代理店と保険会社の共同作業により実現できると思われます。制度が変わるこのタイミングだからこそ、双方が顧客本位という同じ方向を向く必要があります。本稿が、比較推奨の本質を考える一助になれば幸いです。

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