昨年、長期金利が上がったことを受けて、各保険会社は、一時払い終身保険の予定利率を引き上げました。同保険の保険料は、補償部分と運用部分で構成されています。死亡保険金額が固定されていることから、予定利率が上がっても補償部分は同じですが、運用部分は、契約時に受領する保険料は少なく設定されます。
ある生命保険会社のネット広告は、以下のとおり、掲載されていました。
〇〇生命保険 一時払終身保険(死亡保険)
一時払保険料
70歳女性の場合 死亡保険金1,000万円
改定前 約879万円
改定後 約803万円
契約日が2005年9月1日以降の保険契約から
保険料がお安くなりました!
※改定前の保険料は2025年8月31日(計算基準日)以前のもの。
※改定後の保険料は2025年9月1日以降のものです。
この広告を読んで、一般消費者の皆様は、死亡保険の保険料がお安くなった!と誤認するのではないか、と感じました。保険料がお安くなったという表現に違和感を感じます。この商品は、金利が高い時期であれば、一定期間経過後に解約することで、解約返戻金が定期保険などで運用するよりも高くなることを求めるお客様と、相続税対策に生命保険を活用したいお客様が加入する商品です。
とすれば、お客様本位の業務運営を謳っている保険会社であれば、その旨をご説明したうえで、長期金利が上がったことで、将来の保険金のお支払いに備えて保険会社が運用している利率も上がることから、相対的に契約時に一時払いで支払う保険料が少なくて済むという説明になるのではないかと考えた次第です。
例えば、相続税対策に生命保険を活用したいお客様にご説明するにあたり、お客様のご意向を把握するのに、導入部分で、お客様の保有財産の種類とその合計概算額、相続人の人数、現在講じている対策を聞き出して、当該商品の補償と死亡時の相続税に関するご説明を行うというのが、一般的な流れではないかと思われます。
とすれば、保険料がお安くなりました!という表現は、上記のどの部分にも使われないフレーズでしょう。保険会社がこのような誤認を招く広告を発出してしまうと、販売の第一線では、もっと払込保険料と相続税減税効果だけで販売されてしまうことは、この業界に身を置いたことがある人であれば、自ずと理解できると思われます。
この広告は、誰でも容易に見ることができますので、皆様の社内において、この広告を見て、違和感があるとすれば、どのような部分か、お客様本位の業務運営を適正に行ったうえで、販売するとすれば、どのフレーズに気を付けるべきなのか、意見交換してみては、いかがでしょうか。
今年は、保険業法と監督指針の改正が実施される年度です。改正の目的は、顧客本位の業務運営の徹底、健全な競争環境の実現、代理店や営業職員が信頼されることです。この広告を見る限り、まだまだその実現には程遠いと感じる次第です。



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