全国展開のファーストフード店が、セット商品を購入するとカードゲームのカードが付くキャンペーンを実施しました。しかし、カード目当てに大量購入する転売ヤーや、カード以外は廃棄してフィードロスになる等の現象が報道されました。
当該企業は、人気のカードゲームとコラボしたセット商品を販売し、より多くの子供達に商品を買ってもらうことを趣旨としていたと思われます。しかし、実態は転売ヤーの餌食になり、オークション等で大人向けに高値で売買され、食品は捨てられてしまいました。
当該企業は、前回同様のキャンペーンを実施した際、同じ事象が生じて、早々に店頭からカードがなくなって子供達が購入できず、一方で食品が廃棄されている事象が発生していました。にも拘らず、同種キャンペーンを再度実施したことは、違和感を感じました。
今回は、カード枚数さえ十分に確保して子供達には十分に行き渡るので、転売ヤーによる不当な転売も防げる、食品ロスの観点でも販売総量に占める割合は小さいと論議したことでしょう。子供達が喜んで購入できるなら、売上にも貢献することから、実施を判断したと思われます。
しかし、コンプライアンス経営を謳う企業であれば、たとえ趣旨通りに運営されても、転売ヤーによる転売ビジネスを助長する可能性があり、加えて食品ロスを見過ごしていると誤解を受けることから、社会から厳しい目で見られることを判断材料にすべきでした。
当該企業は「おいしさと笑顔を、地域の皆さまに」をパーパスとし、「日本で最も愛されるレストランブランド」を継続していくと公表しています。転売ヤービジネスを助長しかねない、食品ロス増が見込まれるなどは、パーパスの趣旨や最も愛されるブランドに合っているかという観点で検討していれば、別の経営判断になったと思われます。
一度目の事象は想定外ですから、社会からは厳しい目は向けられません。一度目の失敗を契機に、二度目はないぞ!という社内からの厳しい意見が出なかったなら、社内の風土や文化を見直すべきであり、コンプライアンス上に課題がないかという観点をキャンペーン実施提案に盛り込むことを再発防止策とすべきと感じました。
当該企業は大企業ですから、転売ヤービジネスが不当なビジネスであり、社会から冷たい目で見られていることは、当然ながら十分承知していたと思います。判断にあたり、優先順位の判断に課題があったのか、決定プロセスに課題があったのか、検証すべき課題は多いと思います。子供達に対して、大きな社会貢献を続けている当該企業だけに、今回だけは残念な結果でした。



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