前回は、なぜ代理店に「標準化」が必要なのかについてお伝えしました。お客様の価値観が変わり、誰が担当しても同じ品質が求められる時代になった── ここまではご理解いただけたのではないかと思います。読者の皆様には、「具体的に何を標準化すればよいのか」という疑問が生まれるはずです。実はその答えは、すでに明確に示されています。それが、代理店業務品質評価制度(以下、制度)です。この制度は、保険会社や外部機関が代理店を評価する仕組みであると同時に、代理店が今あるべき姿の一覧表でもあります。
1.標準化すべき項目は、制度の評価項目
制度の項目を整理すると、標準化すべき領域は次の4つに分類できます。
〇 顧客対応(募集プロセス)
〇 アフターフォロー(保全・接点管理)
〇 内部管理・ガバナンス
〇 個人情報保護(情報管理・セキュリティ)
この4つを整えることが、業務品質を高める土台になります。
2.顧客対応(募集プロセス)
募集プロセスは、最も事故・苦情が発生しやすい領域です。制度の評価項目を“標準化の視点”で読み替えると、次のようになります。
〇 意向把握・お客様が抱えるリスクの把握、リスクマネジメント能力
〇 保険料の試算と申込書の作成(お客様が直接システム入力する場合は、その補助)
〇 商品と重要事項の説明(説明の順番・深さの統一)
〇 商品の比較説明、商品の推奨理由の説明
〇 お客様の加入意向の確認
〇 反社会的勢力に非該当の確認
〇 契約の締結・商談記録の残し方(証跡管理)
〇 高齢者募集・障がい者募集
〇 更新契約の対応(損保・生保団体契約)
〇 契約の計上
〇 保険料の領収に関わる手続き
〇 商品規定・販売方法に関する知識レベル(個人・法人契約)
〇 団体・団体扱(損保)・集団扱(損保)
〇 お客様アンケートの積極推進力
これらが担当者ごとに異なると、 お客様の不信感、法令違反、事故や苦情に繋がります。
3.アフターフォロー(保全・接点管理)
アフターフォローは、属人化しやすく“抜け漏れ”が起きやすい領域です。
〇 照会応答・お客様との接点の取り方(電話・訪問・メール)
〇 保全手続きの説明
〇 お客様情報の更新(家族の生活環境の変化等)
〇 苦情の初動対応、対応管理
〇 保有契約の解約・失効のフォロー管理、短期失効契約の募集の適切性検証
〇 アフターフォロー記録の統一フォーマット
〇 定期点検のルール(商品パンフレットや契約のしおりの最新版管理等)
〇 お客様定期訪問がある場合には、そのルールと社内報告要領
〇 不適切な募集があった場合、その事実関係・発生原因・再発防止策の記録と履行管理
ここが整っていないと、「担当者によって対応が違う」というご不満が生まれます。
4.内部管理・ガバナンス
内部管理は、代理店の経営品質を支える領域です。
〇 委託先管理
〇 便宜供与の適正化
〇 利益相反管理
〇 独占禁止法の遵守
〇 判断基準の明文化
〇 社内決裁ルートの整理と実施の適切性管理
〇 自己点検の方法
〇 研修・教育の体系化と実施記録
〇 苦情・事故の分析と改善サイクル
〇 自己点検・自社監査の仕組みの明文化と実施状況
ここが曖昧だと、組織としての信頼性が揺らぎます。
5.個人情報保護(情報管理・セキュリティ)
個人情報保護は、代理店経営者が最も見落としがちな領域です。しかし、保護・紛失等のリスクは最大級です。
〇 個人情報の取得・利用・保管ルール
〇 書類の保管・廃棄方法
〇 データの持ち出し管理
〇 メール誤送信防止策
〇 パスワード管理
〇 端末・システムのセキュリティ
〇 外部委託先への情報提供ルール
〇 情報漏えい時の初動対応
〇 個人情報保護教育の実施
一度事故や紛失などが発生してしまうと、お客様の信用、お客様・事業が一気に失われます。そのため、内部管理とは別に“独立テーマ”として扱うべき領域です。
6.制度の評価項目は、代理店経営の視点で
この制度は、代理店が整えるべき経営の土台を示したチェックリストです。制度を“評価”として受け取るか、経営改善の羅針盤と考えて実行するのかで、未来は大きく変わります。
<まとめ>
〇 標準化すべき領域は4つ
〇 制度の評価項目は、そのまま標準化のチェックリスト
〇 標準化は、経営の再設計であり、代理店の未来を守るための必然
これ以外に、保険会社から提示される項目には、「法令遵守」があると思われます。しかし、弊社では法令遵守レベルは取り上げません。代理店経営者であれば、法令遵守の詳細項目は、自力で理解実践できることが当然だからです。
評価項目の中に、まだ挙績別の評価を取り入れる保険会社もあるかと思います。挙績別の評価は時代遅れ、監督官庁が指摘した事項ですので、無視して下さい。本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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