元所属タレントが元代表者による性被害を訴えた事件において、現代表者が謝罪と中間報告を行いました。本日は、コンプライアンス経営と不祥事対応の観点で、考えてみます。
外形的には、企業の代表者自身による従業員に対するセクシャルハラスメント事件と考えます。被害者は退職後、かつ加害者が故人になってから訴えたこと、被害者の売名行為でない限りは公にすることで被害者にはメリットがないことを考慮すると、内容は信ぴょう性が高いと推察できます。
企業側としては、社会、特に一般の人達が、この事件をどのように受け取るかについて、心を巡らせることが大切です。元代表者の人柄、趣味趣向、従業員や元代表者の言動に詳しい役員から聴取を行い、事実を積み重ねて判断することが必要です。
他にも被害者がいるか否かについては、訴えられている事象から鑑みると、被害者の証言以外には客観的な証拠がないことは容易に想定できます。社内調査を行っても、自社を守ろうとする企業側の目論見と、今の地位を失いたくないタレント側の目論見が等しいことから、正しい調査結果が得られるとは考えにくいです。その結果、社会や一般の人達が調査結果を信じる可能性は低いと考えられます。
加えて、TVなどのマスコミに対しても報道内容について圧力をかけられる立場にあることから、マスコミやタレント業界の常識が、社会や一般人には非常識となり得ることを意識しながら対応する必要があります。
以上の実態を考慮すると「加害者への対応状況」「事実を判断できる証拠がないこと」「他の被害者の有無を調査する方法」「次回報告の大まかな予定時期」の4点につき、中間報告すべきでした。また、動画配信でなく記者会見を行うべきであることも、自社の常識が社会の非常識であることを露呈してしまいました。
この企業の場合、社会から信頼を回復するには、マスコミ報道機関との癒着がない調査、ならびに結果報告を行うに尽きると思われます。今回の事件は、加害者である元代表者が故人である時点で、企業側に勝ち目はありません。社内調査をフリーズさせて、外部による徹底的な調査を行い、事実を明らかにすることが、自社のダメージを最小限にする唯一の方法だと思います。調査結果により、スポンサー企業やマスコミ各社に対する優位性は変わらないので、企業としての誠実さを外部から証明してもらうことが、社会から信頼を回復する近道です。



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