行政処分

man in black suit near a bulletin board

関東の証券会社に対し、行政処分がありました。高齢化に伴い口座数が減少し、赤字になっていた中、米国市況が好調であったことから、米国株式の販売に注力しました。その際、高齢者に対して、適合性原則に抵触する勧誘が行われたそうです。加えて、適合性原則を遵守する態勢と、経営管理態勢について、不十分な状況と指摘を受けました。本日は、行政処分について、考えてみます。

指摘を受けた主な内容について、簡単にご説明します。
1.認知判断能力を持ち合わせていない顧客に対し、外国株式を長期的・継続的に販売した。
2.自社収益に貢献した営業職員を高く評価し、コンプライアンス項目を削除する見直しを行った。
3.営業担当役員から各部支店長へ、顧客の適合性を軽視した営業優先の指示や過剰な圧力をかけた。
4.営業に異論を唱えた社員を降格させ、コンプライアンス上の問題を声に出しずらい環境を作った。
5.赤字脱却の為、コンプライアンス部署の人員を半減し、適切な人員を確保しなかった。
6.高齢顧客の健康状態や商品の理解度を確認しておらず、役席者の承認手続きは形骸化していた。
7.内部監査モニタリングの指摘事例は、今後適切に面談を実施すべき旨を形式的な指導に留めた。

今回は、経営陣が、収益回復の為、顧客の適合性、コンプライアンス体制を軽視し、高齢顧客に対するチェックシステムを形骸化させ、内部監査も不備指摘を行わないなど、営業偏重の経営を行いました。その結果、法令遵守や内部管理態勢の確立・整備が遅れ、営業に意見を言えず、経営陣に実態を報告できない態勢に陥ったものです。

非常に分かりやすい事例でしたので、ご説明しました。当該企業に限らず、現在、報道で取り上げられている不祥事企業に共通した点ではないでしょうか。企業が高い倫理観を築き上げるのには、時間を要しますが、滑り降りるのは容易です。こういう機会に、自社の振り返りを行う企業だけが、生き残っていけるのだと思います。

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