強くて人気のある女性騎手が、突然に引退したと報道がありました。昨年「通信機器の不適切使用経験の有無」を調査した際、自己申告した内容に誤りがあったことが判明したものです。本日は、この事件を通じて学ぶべき企業や組織内調査における留意点について、考えてみます。
当該騎手は、TwitterとYouTubeの使用を自己申告しました。二つのアプリは、閲覧と投稿機能のみで通信機能がなく、通信機器の不適切使用はありませんでした。調整ルームの中に通信機器を持ち込んだ行為に対し、当該騎手へ厳重注意しました。
しかし、今月発売の週刊誌にて、当該騎手が調整ルーム内で通信機器として使用したと報道したことから、虚偽申告の疑義が生じました。騎手本人に確認したところ、虚偽申告であることを認めた為、組織規程に基づき、騎手として重大な非行があったとして騎乗停止処分を行い、その後、当該騎手から引退届が提出されたそうです。
当該騎手は、自主申告を行うことで自らを反省し、その後は更生していました。自己申告の内容に誤りがあったが、更生することで良しと考えていたものと推測されます。
企業や組織内で不適切な行動の疑いが生じた場合、従業員や関係者には、事実を正しく申告させなければなりません。虚偽の事実が後日判明した場合には、加重された処分が下されることにつき、調査時に説明しておくことが大切です。今回は、恐らくその説明がなかったのかも知れません。
もう一つ、注意しなければならないことがあります。不適切な行動が疑われた従業員や関係者は、処遇決定を受けるまでは、自宅待機や謹慎などを命じられることがあります。もし、謹慎期間中に関係者や他の従業員と接触すれば、命令違反が加重され処分を受けます。調査対象者には、この説明もしておかねばなりません。
企業や組織側は、不適切な行動の疑いに関する調査を行う際、調査対象者に対して、注意事項を説明しなければなりません。これを怠ると、今回の様に調査対象者に加重処分を行った場合、処分を受けた人には不信感が残ります。仮に、処分を受けた人が、企業や組織を去った場合、調査時の説明がなかったことをSNSや報道を通じて公開されれば、企業価値を損なうことに繋がりかねません。
当初の調査段階では、調査する側と受ける側共に、大きな事件に発展しないことを望みます。その意識が、正しい調査を阻害し、その結果、不幸な事象に発展します。今回の事件を通じて、自社の調査体制が同じ構造になっていないか、見直しておきましょう。
今回の事件の場合は、社会一般の常識に鑑み、スマホを持ち込むことを前提にして、事前登録制と履歴確認の対策を講じることで、防ぐことができたのではないかと感じました。



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