監督指針の改正案1

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5月12日に、金融庁ホームページに保険会社向けの監督指針の一部改正案が公表されました。6月13日まで、国民から広く意見を求めています。監督指針の改正案について、シリーズでご説明していきます。

改正案では、保険募集管理態勢、代理店の体制整備義務、便宜供与、出向者、代理店手数料の算出、情報管理態勢、政策保有株式、保険仲立人について、見直しています。本日は、保険募集管理態勢について、ご説明します。

代理店の体制整備と、保険募集が適切に行われているかについて、保険会社が教育・管理・指導を日常的に行い、その実効性を代理店監査(点検)で確認すると定めています。監査で不備があった場合は、期限を提示して当該代理店に改善を求めるなど、代理店への指導が適切に行われ、実効性を十分に確保することを求めています。日常的に教育・管理・指導を行うにあたり、営業面へ大きな影響を与えても、その趣旨を曲げてはならないと、今回の改正で追記しました。

代理店監査(点検)においては、代理店による自己点検結果を参考にせずに、独自に評価するように、追記されました。代理店主が行った自己点検の判定誤りを指導したり、判断基準を指導するなど、保険会社の監査内容に対する工夫を求めています。

また、監督手法・対応の項目において、代理店に対する指導状況について、保険会社に対して直接オフサイト・モニタリングを行うと宣言しており、結果によっては、報告徴求を求める、もしくは金融庁検査を行い、重大な問題が判明すれば、行政処分を与えると明記しました。

この結果、保険会社が行う代理店指導や監査は、大きく変更を余儀なくされます。保険会社は、日常的な教育・管理・指導を記録し、教育内容について、監査確認項目に追加するようになるでしょう。代理店側は、保険会社作成の監査結果を受け取り、指摘項目には、定められた期限までに改善策を策定し、実施しなければなりません。

加えて代理店監査では、自己点検と同じ項目について、保険会社の目線で監査する項目が、新設されます。自己点検で「できている」と判断した項目には、代理店はエビデンスや取組み状況が分かる記録の提出を準備する必要があります。

更に、金員詐取事件、情報漏え事案、不適切な募集事案が繰り返し発生、お客様からの苦情が多い代理店には、財務局から直接オフサイト・ヒアリングが入ることになります。その結果によっては、保険会社や代理店に対して、報告徴求命令を発動することもあります。より厳しい対応が予想されます。本日は、改正により変更がある項目のみにつき、考えてみました。今から準備すべきと思われる事項も記載しました。

改正案では、損害保険会社の従業員向け指導強化が明記されました。しかし、大型の金員詐取報道の多くは、生命保険の従業員による詐欺行為であり、数千万円から億円に至る被害を出しています。私見ですが、生命保険会社の募集第一線に対する甘さが残る改定案になっていると感じました。

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