監督指針の改正案2

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公表された改正案につき、項目ごとにご説明するシリーズの第二回目は、代理店の体制整備義務です。本項目は、多くの内容が含まれていますので、できるだけ平易な言葉に置き換えて、ご説明します。

乗合代理店が保険会社に対して、過度の便宜供与を求めることは、便宜供与の実績に応じて特定の保険商品を推奨する事態を誘発し、顧客の適切な商品選択の機会を阻害するおそれがあるため、防止する必要がある旨、明文化されています。

比較推奨販売を行う場合は、自社の規模や特性に応じて以下の措置を講じることを求めています。
①過度の便宜供与に係る判断基準の社内規則等への規定
②便宜供与の要求と受入制限につき、募集人への適切な教育・管理・指導の実施
③便宜供与による自社の比較推奨販売への影響有無に係る確認・検証
④確認・検証結果を踏まえた、経営陣における評価・対応の検討
⑤③にて影響が生じていた場合、適切な解消措置の実施と改善に向けた態勢整備

加えて、専属代理店にも、専属維持の見返りとして、保険会社に対し過度の便宜供与を求めること、過度の便宜供与を受け入れることを禁じ、適切な措置を講じる必要があると明確化しています。

代理店の体制整備状況に対し、オフサイト・モニタリングを行う、報告徴求を求める、財務局による立入検査を実施するとし、重大な問題がある場合には行政処分を行うと明記しました。当局が体制整備の実態を把握する仕組みについて、公表したことになります。

代理店は、保険会社に便宜供与を求め、便宜供与実績に基づき、当該保険会社の商品を推奨することを禁止されました。便宜供与に関する判断基準を定めた社内規定を策定し、適切な教育・管理・指導を行い、その実態を把握し、不備がある場合には、経営陣が主体的に評価・対応策の検討を行うことを明確に求めています。同時に、不備があれば、適切な解消措置の実施、改善に向けた態勢整備を求めています。この文言は、PDCAサイクルの仕組みに合わせて、態勢を整備するように明示しています。

便宜供与の事実が認められた、または疑わしい場合には、当局がオフサイト・モニタリングを行って実態を把握すると明言しています。便宜供与は、代理店と保険会社等との間で発生するため、当局は保険会社から報告を受けることはできません。それゆえ、直接実態を把握して、判断するという仕組みにしたと思われます。

この項目においては、恐らく各社の募集コンプライアンス・ハンドブックに便宜供与の判断基準が明記されますので、それを自社の社内規定としている代理店は、自社であらためて策定する手間はありません。募集人向けの教育・管理・指導についても、各保険会社が代理店向けにリリースする研修カリキュラムに含めるはずです。その研修内容や便宜供与の判断基準について、全ての役員・募集人が正しく理解するまで丁寧にフォローアップをすることが、代理店主がすべき対応です。その後は、定期的に状況を把握する仕組みを導入して、不備がある都度、改善の取組みを行い、それを継続することが必要となります。

できるだけ短く要約し、平易な言葉でご説明しました。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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