セルフチェックのポイント

person marking check on opened book

前回のブログでは、制度運用の実効性を確認するための「セルフチェック」の必要性についてお伝えしました。今回はその続編として、セルフチェックを“実践する”際に抑えておきたいポイントについて、ご紹介します。セルフチェックを有効で、実効性ある仕組みに育てるには、その設問に制度を育てる視点が必要です。

<「できていること」だけを確認すると育たない>
セルフチェックを行う際、担当部署はどうしても「できていること」に目が向きがちです。「マニュアルは整備されている」「研修は実施している」「通報窓口は設置している」──これらは重要ですが、それだけでは制度の“成長”にはつながりません。本当に制度が機能しているかを確認するには、次のような視点が必要です。
 〇 機能している中に、どんな課題があるか?
 〇 その課題に対して、どんな改善策や新たな施策を考えているか?
 〇 制度運営において、どんな創意工夫をしているか?
こうした問いを設問に含めることで、セルフチェックは「制度の棚卸しと再設計」から「制度の成長支援」へと進化します。

<実効性あるセルフチェック設問の工夫例>
以下は、精度の高いセルフチェックを促す設問例です。 回答するには、実際に制度を運用し、振り返り、改善を考えている必要があります。
1.課題発見型の設問
 〇 「制度運用の中で、現在の課題と感じている点は何ですか?」
 〇 「その課題に対して、どのような改善策を検討していますか?」
2.創意工夫型の設問
 〇 「制度を現場に浸透させるために、独自に取り組んでいる施策があれば教えてください」
 〇 「制度運営において、現場の理解を促すために工夫していることはありますか?」3.成長支援型の設問
 〇 「制度の改善提案が、現場から上がる仕組みはありますか?」
 〇 「制度の運用状況を振り返る場は、どのように設けていますか?」

<セルフチェックは“制度を育てる対話”>
セルフチェックは、単なる点検ではなく、制度の趣旨と向き合う対話の場です。「できていること」だけでなく、「まだできていないこと」「もっと良くできること」に目を向けることで、制度は育ちます。そして、課題を見つけ、改善策を考えること自体が、制度運用の“実効性”を高める行為です。 その姿勢こそが、組織の信頼を守る力になり、お客様からの信頼に応えることに繋がります。

<まとめ>
自社が策定した制度に対してセルフチェックを行い、「課題発見」「改善提案」「創意工夫」へ歩を進めることで、制度は育ち、信頼は深まります。こうした視点を持ち、制度設計や運用支援を通じて、お客様の「健全な組織づくり」を支えることが、企業経営者の役割だと感じています。お読みいただき、ありがとうございました。

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