保険代理店の体制整備シリーズも、20回目になりました。本日は、代理店主が持つ課題認識とその分析・検討事項について、考えてみます。
代理店主には、多くの情報が集まり、その結果、経営者の目線で考えるべき事象が多くなります。ご自身で課題認識を持って考えていきある程度固めます。その結果を担当役員や担当部署へ課題認識を言葉で伝えて共感を促すことで、課題認識の確からしさを確認します。
担当役員や担当部署は、課題を分析し、必要に応じて発生する原因を探して、解決策を導き出して、代理店主へ報告します。代理店主は、解決策が課題認識を解消する施策になっているか、自社の経営理念に沿っているかなど、確認したうえで、自社の施策に加えるか否か判断します。新たな取組みが必要な場合は、全従業員に対して、取り組む目的や生じた背景などを説明して、従業員のモチベーションを高め理解を深めます。
代理店主が、ご自身で課題認識を持つには、集まった多くの情報、競争他社が成長性を高めた取組み、不祥事などの情報や解決の経緯、自社を取り巻く環境、自社や競合他社で発生した困った事象などから、課題になる事象や環境を見つけ出すことから始めます。
時には、競合他社の経営者へ直接連絡して、取組み経緯や実績、環境や社内文化の推移などについて、ヒントをもらいます。何も情報もなしに、担当役員や担当部署へ問題提起しても、受け取った側は、何が課題と考えたのか、なぜそう考えたのか、本当に課題として良いか、自社の経営理念に照らして必要かなどについて、考えることができないからです。
課題が問題事象である場合は、発生原因を分析する必要があります。なぜその事象が問題となるのか、なぜその事象に至る事業活動が行われたのか、既に自社でも起こっているか、複数回に亘り起こり得るのか、どの部署に起こりそうか、などについて、分析を進めます。
こうした下準備もなく、無理に体制整備を進めようとすると、取組みが計画、周知、研修、リマインドをなぞるだけになり、課題の本質へ切り込むことなく、指示徹底だけが伝わる体制整備になる恐れがあります。それだけに、課題認識の整理と、事象分析・発生原因分析までは、経営トップと担当部署が一緒に考えることが望ましいです。お互いに疑問に感じていることや、課題認識に至る経緯を共有することで、同じ目線から始めることが可能になるはずです。体制整備の近道は、課題として取り込む間口を広げることだと思います。



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