ここ数年に亘り、保険代理店部門を売却または譲渡する企業が増えています。特に、本社以外に複数の大規模工場などを持つ企業は、保険代理店部門も出先を保有せざるを得ず、思うように収益拡大が見込めないことが要因です。本日は、企業代理店の受け皿について、考えてみたいと思います。私個人の推測が含まれていること、ご容赦ください。
企業の保険代理店が扱う主な契約は、①当該企業グループ物件、②取引先企業契約、③従業員契約です。新しい保険や企業グループの規模拡大により、①と②は成長する可能性があります。一方、今後は従業員数の拡大は見込めず、かつ従業員の所属事業所ごとに代理店事務所が必要です。コロナ禍で在宅勤務が増えたこともあり、社内便で郵送したり、内線電話で契約する形態が馴染まなくなり、工場や事業所の食堂などで募集を行う機会が減りました。
企業の機関代理店側から見ると、保険代理店事業を辞めると、代理店手数料収入はなくなりますが、代理店従業員の給与や事務所経費がなくなり、実額で減るのは、経常利益額のみと考えられます。
上記のような企業グループの機関代理店事業を買収する保険代理店が現れています。今のところ、買収しているのは、企業物件を主に扱う専門代理店、保険ブローカー系列代理店のようです。買収している代理店は、①②の契約には適していますが、③には必ずしも適しているとは言い切れません。
従業員契約には、各事業所のある地区に事務所を持つ個人契約に強い代理店が適しています。在宅勤務が増えて、必ずしも契約締結が、社内便での郵送や工場の食堂などの既存のルートや場所には限られなくなったことに加え、通販型保険の宣伝効果等により、個人契約を丁寧に見直したいニーズが一定程度高まっているからです。
保険専業代理店、特に複数の都道府県に事務所を持つ多拠点代理店は、所属の保険会社の企業契約部門に対して、企業グループの機関代理店の受け皿として、手を挙げてはいかがでしょうか。個人契約を専門にしていて、顧客満足度の高い募集人を集めて、専用部隊を作るなど、提案手法は考えられます。
「企業の受け皿は企業代理店で」と言うのは、保険会社側の理屈であり、顧客側から見れば、福利厚生制度を受ける為に自社代理店で加入していたのに、買収した企業代理店は、従業員契約をマスとしてしか捉えておらず、コロナ禍を通じて始まった1to1ミーティングの特性を募集活動に生かし切れていないと思われます。
保険代理店事業の場合、事業の売却、イコール保有契約の譲渡であり、募集マーケットの譲渡です。各募集マーケットに適した代理店へ分割譲渡すれば、専門性が高く、顧客に詳しい代理店が継承することになり、企業、従業員共に、ハッピーなのではないかと考える次第です。
コロナ禍で変化が生じた部分に対して先手を打って改革していくことが、大切です。現代はデジタルが進化しているので、従業員契約の管理も全てデジタルです。必ずしも同じ代理店さんでなくとも、支障がないのも、デジタルが寄与しています。DXを推進して活用しましょう。



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