国立大学の医学部の女性講師が、上司の教授からアカデミック・ハラスメントを受けて、大学に訴え出たが否定され、うつ病を発症したとして、労働基準監督署が労災認定したと報道がありました。本日は、アカデミック・ハラスメント(以下、アカハラ)について、考えてみます。
講師のレベルでない、英語が貧弱と叱責され、無断で私物を廊下に出された、ミーティングで被害者の発言を再三妨げるなど同僚の前で攻撃的な発言を受けた、業務の目的を逸脱した精神的攻撃が複数回あったそうです。また、同大のハラスメント防止・対策委員会は、被害者より申し立てを受けましたが、被害者へのアカハラを認めなかったそうです。労基署の認定の結果を踏まえて、被害者は、教授と大学に対して、損害賠償を求める提訴を行いました。
この件について、問題は大きく二つ考えられます。これが、発生原因と思われます。
1.アカハラではないかと考える人が学内にいない結果、加害者に対して注意喚起できなかった。
2.大学が、アカハラの定義や正しい判断基準を持っていなかった。
アカハラの申し出を行う仕組みが機能していたことは、不幸中の幸いかも知れません。
再発防止策は、学長、理事、教授、講師、事務員など全大学関係者に対し、アカハラの知識と被害を受けたと感じた場合に取るべき行動、誰かがハラスメントを受けていると感じ取ったら、速やかに初動を取ることについて、研修教育を行うことです。加えて、アカハラ認定基準の見直しを行うことです。
大学の教授というのは、尊敬される人であり、知識人です。しかし、それは修めた学問に対するものであり、人柄や人格については、必ずしもそうではない。むしろ、変人に近い人の方が多い可能性だってあるかも知れません。そういう環境下にあるというリスク認識を持つことが、大切だと思います。



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