備蓄米の販売に手を挙げた企業が、農水相に対して意見書を提出しました。意見書を読むと、コメ流通に関する課題が見えてきます。意見書の確からしさを評価するのは別の方にお任せして、本日は、意見書の内容について、コメントします。
意見書によると、コメ流通が抱える課題は、以下のとおりです。
1.JAから仕入れる一次問屋は、実質は特約店的に決まっていて、新規参入が困難。
2.小売りまで最大で五次問屋があり、運送+保管+仲介費用が幾つも加算され、仕入れコストが高い。
3.二次問屋以降は参入が容易で、ブローカーや投機目的の業者が流通をコントロールし、供給を抑えることで価格を釣り上げる事例が見られる。
4.等級が混在した銘柄米が売られているケースが多く、消費者はラベル情報だけで判断を強いられる。その結果、同じ銘柄でも価格に大きなバラツキが生じている。
意見書を読んでみると、コメを安定的に消費者まで供給するためには、一次問屋への参入障壁を見直し、ブローカーや投機目的の問屋を規制する必要性を感じました。また、銘柄米の等級を明示することを義務化する必要も感じました。これらは、意見書において、解決策として記載された内容に含まれていました。
一方で、大臣経験者の野党議員が「古古古米は5キロ83円なのに、なんであんなにありがたがっているのか。ニワトリさんが一番食べているんですよ。人間様、食べてないですよ」と、支援者集会にて発言した旨、報道されました。
要約すると、政府が定めた5年間の保存期限を過ぎたおコメは、家畜用として安価で流通され、ニワトリも食べている。保存期限を過ぎたおコメは、人は食べていないという趣旨らしい。備蓄米が保存期限内であることは知っているはずなので、意図的に歪めた発言で印象操作を画策した模様です。あたかも、保存期限を過ぎたおコメを備蓄米として放出していると誤解を誘発させる発言でした。
備蓄米を活用して、新しい流通を作り出した一般企業もありました。東北新幹線の車両の一部は、最近貨物輸送を始めています。備蓄米を新幹線で輸送して到着駅で販売することで、いち早く消費者へ届ける姿勢と、新しさを活用する意欲を感じました。
どうやら、流通の常識を破るのは、一般企業の斬新力と行動力のようです。新たに20万トンの備蓄米が市場へ放出されるそうです。報道によると、規模の小さいおコメ屋さんが参入するには、まだハードルがありそうです。
規模の小さいおコメ屋さんは、おコメ専門店の位置付けであり、主に銘柄米や希少価値のあるおコメを少量販売する形態ですから、今すぐに備蓄米を求めている顧客とは、顧客層が異なるように思えます。社会課題の解決に協力するならば、精米と袋詰め作業を請け負うという選択肢もありますが、本業を圧迫する可能性もある為、容易に参加できないかも知れません。
備蓄米を通じて、社会課題を政府と企業が協力して速やかに解決していくという、日本独自のスタイルが生まれています。このような活動が、これからの日本文化として根付いていくことが期待されます。



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