2025年の保険業法等改正では、「便宜供与」という聞き慣れない言葉がキーワードになります。簡単に言えば、保険会社や契約者との“持ちつ持たれつ”の関係を見直そうという内容です。代理店が不本意に疑われることを未然に防ぎ、業界全体の信頼性を高めることを目的としています。
例えば、保険会社が「代理店のビジネスに協力する」「契約者に特別な便宜を図る」などの行為は、保険の公正な運営を損なうとして、規制の対象になります。本日は、改正のポイントと代理店経営者に必要とされる体制整備の項目について、ご説明します。
<どういう場面が便宜供与に該当するか>
例えば、以下のような事象が、便宜供与に該当します。こうした行為は、契約者の利益を損なったり、保険業界の公平性をゆがめるリスクがあります。
〇 保険会社が代理店の商品を購入したり販売支援をする
〇 代理店が保険会社に便宜供与を依頼する(例:販売協力)
〇 契約者に対して、契約を条件にした特別対応を行う
便宜供与の種類としては、保険会社⇒代理店へ供与する、保険会社が契約者等へ供与するという形が一般的ですが、代理店が保険会社に対して便宜を供与するように要請するケースや、契約者等が保険会社や代理店に対して便宜を供与するよう依頼するケースも該当します。改正業法では「過度な便宜供与を禁止」しています。
<代理店経営者が対応すべきポイント>
〇 募集人への研修で「依頼してはいけない内容」を習得させる
〇 保険会社との協力体制について、契約内容や関係性の棚卸しを行う
〇 便宜供与に該当しそうな業務フローや提案方法を点検する
〇 保険会社との商談や折衝は、誰が依頼や交渉するか定めておく
保険会社との関係が密な代理店ほど、「どこまでお願いしていいのか?」と悩む場面があるかもしれません。誤解を避けるためにも、社内ガイドラインの整備や営業研修を進めておくと安心です。
<便宜供与に該当すると疑われる事例>
〇 保険会社⇒代理店:商品購入、募集支援、表彰品の提供など
保険会社からの出向者の在籍も該当を疑われるケースあり
〇 代理店⇒保険会社:株式購入依頼、販売支援要請など
〇 契約者⇔保険会社、代理店:特別対応を条件にした契約勧誘など
便宜供与という言葉自体が、聞き慣れないことから、理解が十分でないかも知れません。たとえ善意であっても「○○してくれると助かる」「ついでに△△をお願いしたい」といった依頼でも、便宜供与に該当することがあります。依頼した時点で“行為の誘導”とみなされる可能性があるため注意が必要です。
代理店内で、「この程度は過度ではない」という会話があったり、経営者がそのような判断をした場合には、該当することが多い傾向にあります。そういう事象に遭遇した場合には、保険会社の担当部署へ直接確認することで、便宜供与を疑われる行為者にならないようにすべきです。
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