高校野球チームが、全国大会期間中に途中棄権した旨、報道がありました。その理由は、1月に発生した暴力事件の被害者から警察へ被害届け出が出されたことで、事件を公表した途端に、SNSで他の不適切事象が掲載され、生徒や学校に被害が及んでいることでした。
1月の事件は、野球部の当時2年生4名が、規則違反を犯した1年生に暴力をふるった結果、3月末で1年生は転校したというものです。高野連は、この事件に対して厳重注意処分を科しました。これに伴い学校は、当該行為者に1か月間の公式戦出場停止処分を行いました。
SNSに掲載された不適切事象は、監督や選手による暴力行為については、新たな事実が判明しなかったことを理由に、調査を終了していました。暴力行為の有無は確認できなかった模様です。
この二つの事象における学校側の対応に違和感を感じたのは、暴力行為者の処分や処遇を優先し、被害者のその後にフォーカスしなかったことでしょう。暴力事件が起こった野球部が全国大会へ出場すれば、被害者の被害意識が高まることを忘れています。
1月の暴力事件では、被害者は3月末に転校しました。被害者は、野球部の寮内の規則違反をしたことで、先輩から暴力をふるわれ、野球部や学校にいられなくなり転校しました。この規則違反は、カップラーメンを持ち込んで食べたことだそうです。この規則は、当該野球部では常識ですが、社会一般的には非常識な規則です。
企業や組織において、暴力行為やハラスメントが起きた時、事実関係を把握して加害者と被害者に対して、必要な対応や処遇を行うことは、必要な対応です。加害者と被害者は共に、役員や従業員などの構成員ですから、両者に対して再教育が必要であり、お互いの距離を離すなど実質的な距離を作ることも、大切な対応です。
今回の学校は、1月の事件の加害者に対して、1か月間の公式戦出場禁止処分を行いましたが一方で、被害者は3月末で転校を余儀なくされました。外部の視点から見ると、明らかに不平等であり、加害者と被害者が逆転しているようにも思えます。
今回、1月の事件の被害者が、全国大会前に警察に被害届け出を提出したのは、不平等な裁定に対して、憤りを感じたからでしょう。被害者である自分には救済がなく、加害者には救済措置があり全国大会への出場は叶っているという不平等を感じたのは、不思議ではないと思います。
加害者と被害者がいる以上は、両者に事実関係を認めさせること、そのうえで適切な判断を行い必要な措置や処分を講じ、再発防止に努めること。今回の件を通じて教訓にすべきは、その際、その後の処遇についても、責任をもって対応するということでしょう。
もう一つ教訓とすべきは、一つの暴力行為が事実であれば、他にも同種の事象や事件がないかを徹底的に確認すべきだということです。規模の大きな企業であれば、付随した調査にも大きな負担が生じることから、コストパフォーマンスを考慮して小さな調査にすることもあるでしょう。その場合には、後日新たな同種事象が発生した時に、対外的な説明ができるか否かで判断することをお薦めします。対外的な説明ができるか否かとは、既に発生した事象が、社会的な信頼を失う事象なのか否かです。コンプライアンス担当部署は、そういう観点で起こった事象を見るだけの見識が求められています。



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