今回は、具体的な事例に基づき、ご説明します。ノンフリート自動車保険では、保険期間の途中で「20歳の子供が運転するので、保険が効くようにして欲しい」と言われることがあります。手続きの際、運転者の年齢に気を取られて本人・夫婦限定特約を見落とすことがあります。更新時や事故時にそのことが判明し、代理店さんの手続き誤り事案として、再発防止策を求められます。
【体制整備を伴わない再発防止策】
代理店主(または保険責任者)から、当該募集人さんへ厳重注意を行う。本件を次回の全体会議にて論議・共有し、契約変更手続きの際の留意事項として、全社へ徹底し記録に残す。ニュース等でも情宣して、誤りを起こさないように指示する。
【体制整備を伴う再発防止策】
自動車保険は期中変更手続きが多いため、個々の能力や気づきに任せておくにはリスクが高い。代理店主が、募集人さんがミスしにくい仕組みを検討した結果、専用チェックシートを新設し、募集人さんと事務担当が確認できる業務フローとし、募集人教育を行い運用を開始した。
二つの再発防止策の違いが、分かりますか。前者は、当該募集人さんと自店内へ注意喚起する対策を講じています。後者は、仕組みや業務フローを見直すことで、誤りを起こしにくい対策を講じています。
改正保険業法の体制整備義務は、体制の見直しを伴う再発防止策を自ら策定して運用し、定着していることを自ら確認することを求めています。保険会社が教えてくれない場合は、ご相談ください。業法の趣旨と目指して欲しい姿、定着状況の確認手法、再見直しのタイミングなど、自店に合った進め方を論議しながら、貴店が進化するご支援を行います。
ただ、目的は、体制整備ができることではありません。体制整備の取組みを継続して定着させた結果、貴店の業務品質を向上させて、その先にいるお客様に対し、適正な業務運営ができることです。目的を見失わないように進めましょう。
なお、上司からの厳重注意はパワハラ、会議資料による共有やニュース配信のみは取組みの形骸化に繋がる恐れがありますので、ご注意ください(笑)



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