保険代理店にとって、法人契約者への対応は個人契約者とは異なる難しさがあります。零細企業を除けば、契約の窓口は総務部門や財務部門であり、契約を担当する代理店もグループ会社や専業代理店であることが多いのが実情です。
しかし、企業の代表者が本当に気にかけているのは「今加入している保険で企業を取り巻く補償は十分なのか」「新たなリスクが生じていないか」「社内で定期的に論議されているか」という点です。これは単なる契約手続きではなく、企業の存続や事業継続に直結する重要なテーマです。
<法人契約者が求める視点>
〇 企業全体のリスク把握:窓口部署が自社の事業活動全体を理解し、不十分な補償があれば見直すこと
〇 新たなリスクへの対応:新商品や新しい保険の情報を把握し、必要性を検討すること
〇 社内論議の促進:保険を単なるコストではなく、経営リスク管理の一環として議論すること
<保険代理店に求められる役割>
〇 情報提供:契約時だけでなく、定期的に企業ニーズに合った保険や新商品を紹介する
〇 基礎知識の教育:窓口担当者やその上司に対して、保険選択に必要なリスクに関する基礎知識や商品ラインナップを体系的に伝える
→ 実際には、この「教育」を継続的に行える代理店はほとんど存在しません。しかし、これこそが企業契約者を守り、満足度を高めるための重要な活動です。
〇 事業活動との接点強化:企業の事業全体像や運営状況を把握し、補償の妥当性を一緒に検討する
<満足度向上につながる具体的な活動と効果>
〇 リスク診断の提案:「事業活動に新しいリスクが生じていないか」を窓口部署に対して定期的に確認させる
→ 効果:経営者は「代理店が自社を理解している」と感じ、信頼が深まる
〇 フォローアップ面談:契約時に「今回の補償内容で不足はありませんか」と問いかけ、契約締結後のフォローアップ面談に繋げる
→ 効果:企業は「声を聞いてくれている」と感じ、安心感が高まる
〇 保険教育セッション:窓口部署に対して「保険の基本構造」「商品ラインナップ」「リスク対応の考え方」を定期的に説明する
→ 効果:担当者は「保険を理解できた」と自信を持ち、社内論議が活性化する
〇 情報発信:レポート等で「法人契約者向けのリスク対応事例」を情報提供する
→ 効果:「代理店が積極的に情報を提供している」と評価され、継続的な関係構築につながる
<まとめ>
法人契約者の満足度を高めるためには、保険代理店が「契約窓口のサポート役」に留まらず、「企業リスク管理の伴走者」として日常的に情報提供と知識共有を行うことが不可欠です。特に、窓口部署への保険教育は、他の代理店と差別化できる大きなポイントであり、企業契約者の信頼を獲得するための基盤となります。
これを怠れば、保険料の安さだけを基準にした乗り換えが進み、企業を取り巻くリスクという本質から離れてしまいます。代理店は「企業を守る存在」としての役割を果たし続けることで、顧客からも評価機関からも信頼を積み重ねることができるのです。



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