これまでのシリーズでは、成功体験の足かせ、トップの孤立、価値観のズレ、心のクセと、経営者や管理職が陥りやすい“見えないリスク”について考えてきました。これらに共通するのは、「自分では気づきにくい」という点です。だからこそ、日常の中で“自分の言動を振り返る習慣”を持つことが、リスク感応度を高めるうえで欠かせません。
1.なぜ振り返りが必要なのか
経営者や管理職は、常に意思決定の連続です。忙しさの中で、言動が荒くなったり、判断が固定化したりしても、誰も指摘してくれません。振り返りは、
〇 判断の質を高める
〇 心のクセに気づく
〇 組織の空気を整える
〇 孤立を防ぐ
ための“自己点検装置”です。
2.振り返りが続かない理由
多くの方が「振り返りの大切さ」は理解しています。それでも続かないのは、次の理由があるからです。
〇 忙しくて時間が取れない
〇 何を振り返ればいいか分からない
〇 振り返りが“反省会”になってしまう
〇 効果がすぐに見えない
振り返りは、やり方を間違えると苦痛になるのです。
3.振り返りを習慣化するための“3つのコツ”
① 時間ではなく“タイミング”で決める
「毎日30分」では続きません。 おすすめは、
〇 会議の後
〇 部下との面談の後
〇 1日の終わりの3分 など、
“行動の直後”に短く振り返ること。
② 振り返る項目を“固定化”する
毎回ゼロから考えると続きません。例えば、次の3つだけで十分です。
〇 今日、誰にどんな言葉をかけたか
〇 相手はどう受け取ったか
〇 もう一度やるなら、どう言うか
この3つを回すだけで、言動の質は大きく変わります。
③ 自分を責めるのではなく“気づく”ことを目的にする
振り返りは反省会ではありません。目的は、「自分のクセに気づくこと」です。気づけば、次の行動が変わります。
4.明日から使える“自己点検の問い”
〇 今日、誰かを急かしすぎなかったか
〇 相手の話を遮っていなかったか
〇 「普通は」「当然だろう」を使っていないか
〇 相手の立場に立って言葉を選べたか
〇 自分の判断は、過去の成功に引っ張られていないか
これらの問いは、“すぐに使える”実践ツールです。
<おわりに>
振り返りは、経営者や管理職にとって“自分を守る習慣”です。 孤立を防ぎ、心のクセに気づき、価値観のズレを埋めるための基盤になります。シリーズを通じてお伝えしてきたのは、「リスク感応度は、日々の小さな習慣で磨かれる」ということです。読者の皆様がご自分の言動を丁寧に見つめ、組織の健全性を高める一助となれば幸いです。



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